果樹経営安定制度への取り組み

りんごやみかん等果樹は嗜好食品だからと言って、市場経済に全てをゆだねているのが、わが国の農政である。
しかし、多くの先進国では、市場経済の混乱から生産者を守るための何らかの対策がとられている。
それもなさずに、生産者を市場経済の混乱の中に翻弄させている。
我々は、生産者が最低限の生活できるようにするために、何らかの政策が必要だと運動を展開してきた。

グラフは価格が乱高下した平成10年を中心にした青森県産りんご市場価格である。
平成9年の大暴落で、生産者が翌年の生活さえも困った時期に、このような時に何らかの対策が必要だという、我々の要望に応え、青森県が平成10年に「りんご価格安定制度」を制定した。青森県の大英断である。
始めは、そのようなことはできないと言っていた農水省は、青森県の制度と要望を受けて、平成12年にりんごとみかんを対象に「果樹経営安定制度」を創設した。
まさに地方が中央を動かした事例である。

ところが、制度が創設された翌年の平成13年に、再度りんご価格の暴落が起こった。その平成14年も連続した低価格である。
制度を創設したときには、統計から推察すると、大暴落は20年に1度、小さい暴落は5・6年に1度くらい発生すると言われていたのが、連続した大暴落に混乱した。
それでも生産者が大混乱しなかったのは、まさにこの制度で、下支えがあったからだと思っている。
しかし、このように連続した補填には、制度を支えることができないと言うのだろうか。平成18年でこの制度が無くなった。
金が無いから制度を変えるという農水省の考え方に、大きな疑問を持っている。
大事なことは、ひとつの制度が国民のためになっているのか検証することではないか。それらをしないで、金がないと言う態度には、なんとも納得がいかない。
こんなところにも、わが国の地方軽視、農業軽視が感じられる。