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いよいよホログラム再生の原理。前回の作成の原理とセットで読むと、感覚的にわかると思います。 |
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防波堤に、波がぶつかっています。 防波堤には、船が入れるようにすきまがあります。 さて、波はどう進むでしょうか。 次の2つから選んでください。 |
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正解は2です。 防波堤を通り過ぎると、波は、どんどん広がって進みます。 波は、スリットを通るとき、広がって進む性質があります。 |
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レーザーから出た光も、波の性質をもっています。 ということは、スリットにぶつかると、左図のようにまっすぐ進まないということです。 |
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レーザー光のように、波がきれいにそろっていると、スリット部分で、光が分かれて進みます。 このように、スリットを通過して進む向きを変えることを「回折」(かいせつ)といいます。 どうしてかというと、ちょっと難しい。光の波の性質です。 (この図はイメージです) |
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このことを、もう少し正確に書くと、左図ではスリットが2つしか書いてないけど、スリットが等間隔でたくさんあると思って欲しい。 その状態だと、左図のように、光の進む向きが分かれて進む性質があります。隣通しのスリットを通過した光の波が重なって、特定の向きの波が強くなるためです。 最初のレーザー光と同じ向きに進む光を、0次回折光といいます。その上下にできる別の向きに進む光を、1次回折光といいます。 図では省略していますが、さらに、その上下にもできています。 この向きは、光の波長とスリットの間隔で決まってきます。 このあたりは難しいので詳しく知りたい人は専門書をどうぞ。数式でいっぱい説明してくれます。 |
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ホログラムは、青で書いた、1次回折光を利用しています。 黒いスリットがホログラムだとすると、正面から進んできているように見えますよね。 |
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もう一度、フレネルホログラムの作成を見てみよう。 丸いのが物体の一点から出た光(物体光)。 並行なのが、参照光。 2つのレーザー光(波)がぶつかって干渉する。 |
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青い部分に感光材料を置いて露光します。 |
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これを現像すると、干渉縞ができています。 これが、ホログラム。 |
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できたホログラムを拡大すると、干渉縞しかありません。 縞々だらけ。 ところで、この縞って、回折のところで説明した、 そうなんです。では、このスリット(ホログラム)にレーザー光をあててみましょう。 |
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ホログラムの細かいスリットにあたったレーザー光から、回折光が発生します。 実際はたくさんの回折光が出るけど、左図では0次回折光と、上で説明した青の1次回折光を書いています。 これ以外の回折光は目立たないので、実質、この2つだと思ってもいいよ。 何だかみたことのある円が発生しているね。 |
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この円はいったい何か。 左図をよーく見て欲しい。 この円は、被写体の一点から飛び出た光とまったく同じじゃないか。 そうなんです。完全に同じ光を再現しています。 |
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説明では、簡単にするために、被写体の一点から飛び出た光だけを使いました。 実際は、左図のように、被写体の無数の点から光が飛び出ています。 この無数の点から飛び出た光が、すべて、ひとつ残らず、参照光と干渉して、干渉縞を作ります。 だから、すごく複雑な縞になるよ。 それを再生すると、完全に被写体があった時と同じ光を再現します。だから、ホログラムは完全な立体画像なんです。 |
感覚的に、何となくわかったと思います。えっ、難しいって?何度も何度も図と説明を読んで下さいね。 それから、数式を使った難しい理論は別の本などで勉強してください。 次回からは、ホログラムの実際の作り方を簡単に説明する予定です。 |
初めて書いた日 2004年11月24日 内容を修正した日 2010年2月9日 著作権は有限会社アートナウにありますので、勝手に転載しないで下さい。 |