聾者の中で健聴者が一人は不安
東奥日報2022年11月24日付「天地人」を読んだ。要約すればおおよそ次のとおりである。
・両親は聾者である。
・育てられた40代女性は聴者である。
・母親が病に倒れ大きな手術を受けた。
・本人が通訳を兼ねて同席できたのは手術前まで。
・術後は面会を求めたが認められなかった。
これは、手話言語と音声言語の違いに対する無知から生じた事案である。手話は対面ではなく遠隔でも意思疎通が出来るからだ。
そして、「術後は面会を求めたが認められなかった」ことに対し、違和感を感じた本人の感性が凄い。
ところで、聾者の中に健聴者が一人、という経験をした人は多くないと思う。私は、強い不安に襲われ手話通訳が登場してほっとした経験がある。聾者は逆パターンの世界で生きているのだ。
加えて、個別具体的対応が苦手な国民的体質、つまり画一的対応をとても好む国民体質が露呈した事案でもある。
病院側と患者側、双方の思惑が対立した場合、次の二つの視点を大切にしたい。一つは、相手の立場や利害にも思いを致す様な考え方。もう一つは、異なった考えにも耳を傾けて多面的に考察出来るだけの柔軟性を持つこと。
医療従事者は本事案を他山の石として欲しい。
以 上