良きことはカタツムリの速度で動く

 

 日米開戦「空気」が決めたという逸話がある。 青森県知事選、空気が決め手であってはならない。空気は「思考停止」を呼び込み手続の尊重とか、政策論争はひとたまりもないからだ。
  私は、誠実さを軸に、実行力、受信力の三点を評価して投票するつもりだ。
  誠実さを重視するのは、その人を信頼できるか否かの分岐点であるからだ。しかも、リーダーシップを発揮するには誠実さは欠かせない。人は論理のみでは動かないからだ。
  東奥日報新聞3月18日付に興味深い記事が掲載されていた。「子曰く、巧言令色、鮮やかな仁」。中国の思想家孔子(紀元前479年没)の言葉である。巧みな言い回し、美しい表現、こうしたものは真実が少ない。
  立候補者の誠実さについて、立候補の経緯、自民党選考委員会における振る舞いに着目した。 
  一人は、知事が出馬しなければ正しい承継を軸に立候補したい。一人は、知事が出馬の「熟慮中」に立候補を表明。多選を批判して出馬するでもなく、知事が出馬しないから出馬するでもなかった。
  また、保守分裂選挙を避けたい同委員会。推薦を得られなかった場合、一人は「立候補しません」。一人は「立候補します」。誠実さは明々白々である。
  次に、実行力である。青森駅前や新町地区の再開発、操車場跡地、新青森駅前の区画整理事業、若者の起業支援等。これは小野寺市政の実行力である。同時に受信力の高さを表すものだ。民主主義の進化と評価できるからだ。民主主義は国民が権力を監視し、批判し、改善を要求することができるから進歩すると考えられるからだ。
  ところで、人はなぜ弁舌極めて歯切れの良い人間に靡きやすいのか。現状を変革すれば理想社会がやってくるという妄想にかかっていないだろうか。知事選、「思考停止」に陥ったかの様な熱気が帯びてきたから心配だ。
  「良きことはカタツムリの速度で動く」(ガンジー)。見た目や単純明快なメッセージに心奪われることなく一票を投じたい。

以 上