映画「ハンナ・アーレント」
青の空と黄色の麦畑を表すウクライナ国旗。主権国家ウクライナへ侵攻するロシア。国旗とは似ても似つかぬウクライナの惨状。これを機会に改めて映画「ハンナ・アーレント」を観た。
映画はアーレントの生涯ではなく「イェルサムのアイヒマン」に焦点を絞ったものである。ハンナ・アーレントは1906年ドイツで生まれ、1975年に米国で亡くなったユダヤ人の政治哲学者である。
アイヒマンはホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)に深く関与した人物である。逃亡生活を続け、1960年潜伏先のアルゼンチンで捕まった。そして、アイヒマンは裁判で「命令に従ったまでです」と繰り返すばかりである。
「映画の中でアーレントは言う。人間であることを拒否したアイヒマンは人間の大切な質を放棄しました。それは思考する能力です。思考が出来なくなると、平凡な人間が残虐行為に走るのです」(東奥日報2013年12月20日付「映画『ハンナアーレント』ヒット」より引用)。
平凡な人間と思考の能否。だとすれば、これは誰にでも起こり得る話である。アーレントが強調したのは「私が望むのは知識ではありません。考えることで人間が強くなることです」。
この映画を観て「自律心」の重要性を改めて感じた。
以 上