孤独と孤立

  孤独に耐えきれなかったか。24人が死亡した大坂・北新地の雑居ビル放火殺人事件。「孤独」の怖さを感じる。
  住職から聞いたことがある。妻に先立たれた夫は3年と持たない、と。「孤独」はボディーブローの様に精神的なダメージを与え、精神的バランスを崩す。そして、命をも奪う。つまり自死である。被疑者は2008年秋頃離婚。復縁を求めたが断られていた。
  さらに、社会的要因が被疑者を孤独に追い込んでいなかったか。つまり、社会における役割分担の発想の未熟さである。対極にあるのが優生思想的考え方である。
  そんな中、心理クリニックへ通院、被疑者の「孤独感」は癒やされていたのだろうか。それとも一段と「孤独感」を強めていったのだろうか。
  「個にして弧ならず」。私はこの言葉が好きです。しかし、同調を好み、みんなと違うと言われて悩む国民性。波風を立てないことを美徳とし、「個性が強すぎる」と、個性を毛嫌う国民性。実践にはまだまだ勇気が必要である。
  被疑者は腕のいい「板金職人」である。「自分は自分でいいんだ」と、自分にもっともっと「自信」を持っていたら、社会の役割分担の発想が根付いていたら、24人もの死者を出さずに済んだのもしれない。悔やまれる。