学校の息苦しさ解消して
(東奥日報新聞「明鏡欄」掲載:2021.12.9)
10月14日付東奥日報紙は、2020年度の文部科学省調査で、小中高生の自殺者が98人増え、最多の415人だったと伝える。ところが、教育の主体である「子ども達」の声が聞こえてこない。自殺や不登校が年々増える背景として、学校での息苦しさが深刻化している、と指摘するのは「生徒指導論」専門の新井肇・関西外国語大学教授である。識者談話で不登校が年々増加している要因の一つに「同調圧力の強い集団生活が負担となる」と指摘、新型コロナウイルス感染症でこうした状況が一層深刻化した、と述べる。
同調圧力の強い集団生活は、子ども達にとっては息苦しい。さらには、民主主義を破壊するエネルギーが潜んでいる。民主主義は一人一人考え方が違うということが前提であるからだ。
「私には調和を重んじる生き方はできない」。これは、今年ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎・米プリンストン大学上席研究員が、米国籍を取得し日本を飛び出した理由を述べたものである。我が国では、家庭であれ、学校であれ、「従順さ」を美徳とする風潮が根強い。
私は、家庭では孫達には「雑談」を多用、息苦しさを感じさせないよう努めている。新井教授は、児童生徒が穏やかにつながりながら、ともに学び、ともに生活する喜びやおもしろさを実感できるような指導を提唱。私も共鳴した。