自己肯定感の低下を憂う
(東奥日報新聞「明鏡欄」掲載:2021.9.2)
いのち支える自殺対策推進センター代表理事の清水康「日本では小中高と学年が上がるごとに自己肯定感が低下する」と指摘する。(本紙「マナビ ロゴス」より)。自己肯定感とは、他者と比較するのではなく、評価や成果の有無にかかわらず自分の軸を持ち、そのままの自分を受け入れることをいう。
私は、「自己肯定感」は幸せの礎と考えている。人の幸福感や満足度が「自己肯定感」の高低によって明暗が分かれる気がするからだ。しかも、自己肯定感は多様性を認める前提である。
ところが、小中高と学年が上がるごとに自己肯定感が低下するというのだ。自己肯定感と対極にあるのが「比較」である。学年が上がるごとに親が、学校が、「比較」という物差しで子どもたちを追い詰めていないだろうか。
自己肯定感は受験で身に付く代物ではない。「自分は自分で良いんだ」という自信が前提である。そいうでないとどうしても他者と比較してしまうからだ。また、「評価や成果の有無にかかわらず」。これは、他人にどう見られているかではなく、主体的な生き方をいうのであろう、家庭、学校が「自己肯定感」がより一層育つ堆肥の役目を果たして欲しいと願うばかりだ。