見えない貧困とブーメラン

  東奥日報新聞連載「世界は大人だけのものじゃない」寄稿文:文京学院大学教授甲斐田万智子。第14回テーマは「見えない貧困」「子どもの声発信する場を」である。
  日本の子どもの7人に1人が貧困状態にある。日本では貧困家庭の子の多くもスマートフォンを持ち、粗末な服も着ていない。外からは分かりにくい。というのだ。
  そして、次の様に指摘する。

  ・親と過ごす時間がないと人とのつながりも奪われる。
  ・自分が価値ある人間と思えない。
  ・自己肯定感が低い。

  これらの指摘は深刻である。子ども達の生育に欠かせないことばかりであるからだ。
  中でも着目したのは「親と過ごす時間がないなど、人とのつながりも奪われがちである」。子どもにとって何が辛いか、親に話を聞いて貰えないことぐらい辛いことはない。ところが、「自分は自分でいいんだ」という様に自分に自信がない親ほど、指示・強制に走りがちである。子どもに寄り添うことなど期待するすべもない。
  目に見えない貧困は所得格差に伴う貧困とは異なり金では埋まらない。子ども達の環境を作った大人達。ツケは、親、社会にブーメランの様に返ってくることを肝に銘じるべきである。
  「貧困を意識せず、同級生と同じ様に生活したかった」と語る子ども。心が痛む。