医師のあるべき姿とは
(東奥日報新聞「明鏡欄」掲載:2021.8.4)
加齢に伴い薬の種類が増えてきた。その結果、様々な医師との接点が生じる。彼等の職業は、金銭を払った側が「ありがとう」を言う数少ない職業である。そして、言葉には最新の配慮をしなければならない職業でもある。
ところで、医院に行って血圧が高くなるのはマウンティング的思考(優生思想的な考え)の医師の診察を受けた時である。これは、医師にとって欠かせない、患者に寄り添う精神とは真逆である。この様な医師に限って患者の顔を見ることがなく、コミュニケーション、つまり患者とのキャッチボールもない。
思うに、マウンティング的思考に支配されている医師の特徴は、お互いに尊重し合うという人権意識が希薄なことである。中でも患者を小馬鹿にする様な立ち居振る舞いは言語道断である。
憲法13条前段「全て国民は、個人として尊重される」と規定する。これは、個性を通じて社会に参加し、その結果として社会に貢献することを想定している。私たちが目指す社会は分断ではない。共感し、尊重し合う社会である。