法の支配と学術任命拒否


  菅首相は日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否。国民生活に無縁とも思える様なことに国会で膨大なエネルギーを費やし、論戦を繰り広げている。なぜだろうか。
  思うに、一つは人類の歴史の校訓を活用する側面があるからである。つまり、権力を持つ人達は、どうしてもそれを濫用しがちだし、強い権力を持てば持つほど暴走しがちであるということである。
  もう一つは、我が国は「法の支配」を標榜するからである。「法の支配」とは、権力者の意思ではなく、あらかじめ定められた「法」によって国家統治を行うことであり、権力者を含めた国家機関はすべて「法」に拘束されるとするものである。担保するのは厳格な手続である。
  これは、ヒトラー・ナチスによるユダヤ人600万虐殺事件を教訓に生まれたものである。「人の支配」では人権保障が難しい。恣意的に人権侵害が出来ることになってしまう。つまり、人権保障を確実にする為に考えられたものである。
  内閣が学術会議法の法律解釈を変更したいのであれば、しっかりと主権者に向き合うことは必要不可欠である。