聾の大学生達と北欧視察


 孫が聾学校へ通学していなかったら聾者に対して、無知、不安、偏見という流れに流されていたに違いない。
  孫の耳が聞こえない、と判定された時両親は勿論のこと、私もパニックに陥った。そこで考えたのは、福祉の先進国を見聞することであった。
  聾の大学である筑波技術大学国際交流研修に参加、見聞したのはまさに「百聞は一見に如かず」であった。中でも、聾者に対する向き合い方である。「可哀想」ではなく、いつ自分たちも聾者になるか分からない」、であった。
  また、道中恐怖も味わった。参加者の学生達は手話で盛んに話をしている。たまたま手話通訳者が不在、健聴者は私一人。何を話しているかさっぱり分からない。その時の恐怖感は未だに忘れられない。逆構図を想定した場合、私の頭は真っ白になった。
  青聾祭に毎年参加してくれる高校生達。とてもうれしい。弱者に思いを寄せ、より一層心の強い人間に成長することを願わずにはいられない。また、今年はテレビ局が取材に来てくれた。視点に感謝し、とても嬉しかった。
  手話は、英語を話せない人が英語圏に旅行して話をするのと似ている。「こんにちは」「おはよう」「ありがとう」という英語が相手に伝わった時の感触である。