ラグビーW杯に水を差したイングランドチーム


 国内を熱狂させた2019ラグビーW杯、南アフリカ優勝で幕を閉じた。」その決勝戦、南アフリカ対イングランド、実は闘う前に決着がついていたようだ。つまり、魂の集団と勝ちたい集団、これではイングランドが勝つはずがない。南アフリカ完勝であった。
  試合は生放送で観たが、表彰式を観ることはなかった。ところが、翌日、目を疑う様な表彰式の模様を録画で観た。なぜ、最後の最後にラグビーが重んずる規律が崩れたのか。こんなにも取り乱したイングランドチーム。何があったのだろうか。
  この様な光景を見たのは私(78歳)のスポーツ観戦歴で初めてである。仮に、負けるのが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・試合をしなければいいだけの話である。
  余りにも幼稚的で子ども達の夢を砕いた罪は重い。水を差したイングランドチーム、何が気にくわなかったのか。もし、負けたことなのであれば、絶対負けない方法を教える。試合をしないことだ。
  見苦しい姿を大観衆の前でさらけ出す勇気を称えたい。が、これを勇気とは言わない。

  以下は、Yahoo!ニュースからの引用である。
  「日本代表が自国開催で史上初の8強入りを果たし、熱戦に次ぐ熱戦の連続だった今大会。だが、最後に物議を醸す可能性のあるシーンがあった。16年ぶり2度目となる世界一を逃して準優勝に終わったイングランド。その試合後に行われた表彰式でプレゼンターがメダルを首にかけようとするのを拒否したり、多くの選手が首にかけた直後に外すなどの行為があった。
  Jリーグの初代チェアマンや日本サッカー協会会長などを歴任した川淵三郎氏(82)は自信のツイッターに「ウーン、やっぱり僕の性格からして黙っていられない。いくら悔しいからって、貰った銀メダルを観衆の前で直ぐ外してポケットに入れるのはGOOD LOOSERのとるべき態度ではない。少なくとも日本の子ども達にまねをして欲しくない」と投稿(後でLOOSERをLOSERに訂正)。
  インターネット上には「イングランド表彰式の態度悪すぎ」「勝者に失礼」「悔しいのは分かるけど」と疑問視するファンの声が相次いだ。
  今思えば、イングランド主将にその予兆があった。対ニュージーランド戦、ハカに見せた「薄笑う表情」。この相手を嘗めた様な態度とメダル授与に対する態度が通底している、と映る。
  私は、ラグビー観戦歴は長い。現在の日本代表チームの基礎を築いたのはエディ・ジョーンズさんである、と評価しても過言ではない。指導の主軸は選手達の「意識改革」にあった。これは、ラグビー技術以前の話である。ここに着目すること自体日本人コーチでは難しい。外国人コーチであれば誰にでも出来る訳でもない。エディさんの眼力の鋭さに感服した。
  また、「奇跡のレッスン」で見せる指導力はラグビーを通じての「教育」であった。レッスンの始めと終わりでは子ども達の目の輝きは別人の様になる。子ども達にやる気を引き出す力量は並外れている。私はすっかり彼のファンになった。
  一体、表彰式でエディさんに何が起こったのか。大会を盛り上げた功績は大きかった。同時に最後の最後失望も見せてくれた。しかし、ラグビーファンを裏切る様なことは、エディさんの「意識改革」の番かも知れない。
  ところで、イングランドチームの表彰式での所作、規律に厳しいラグビー、選手達にプレイ同様厳しいペナルティを課さないのか。しかも、表彰式に対する経緯、負けを受け入れる強さのなさ。これでは利己主義、自己中と何ら変わらない。勝利至上主義では内面の価値は高まらない、ということを示唆した光景であった。
  「覇者とは、テープを最初に切った人を言うのではない、自己の限界に挑戦した者をいう」。これは元IOC会長の言葉である。
  「成功することは素晴らしい。成功しなくても成長することはもっと素晴らしい」。スポーツを通じての実現の難しさを実感させられた。