「自発的隷従」の危険性

 新型コロナウイルスを巡って、法政大学教授杉田敦は東奥日報5月3日付朝刊「識者インタビュー」で強い権力希求を懸念している。
  自粛とは「自発的隷従」を求めるやり方だ、と指摘。その延長線上にある危険性、つまりナチス・ドイツの台頭など戦前の歴史を繰り返しかねない、と示唆する。
  そこで心配なのは、国民・市民は「自発的隷従」にとても馴染みやすいと考えられることだ。理由は、彼等彼女等の行動基準にある。つまり、積極的に「これはおかしい」と言おうとしない日本人気質。波風を立てないことを美徳とする風習。空気になびきやすい国民性などが行動基準と考えられるからだ。
  外出自粛要請に伴い、コロナ倒産の現出は分かり易い。一方で、国家体制を揺るがしかねない現象が現れた。民主主義の生命線と言われる、集会の自由、表現の自由(憲法21条1項)である。表現の自由を制限するためには、外出自粛の名の下に法的強制などいらないという現象である。
  偽政者は、この現象を見逃すはずがない。不安を煽り、マスコミを利用して一つの方向に向かわせることが出来る、と実感したに違いない。これは、民主主義制度の下で生きて行く為に、とても重要な教訓である。

以 上