民主主義の成熟に日本人気質は悪である

 日本人気質とは、おかしいことに対して「それはおかしい」と言わない気質のことを言う。
  以下は、知日派の米ジャーナリストで知識人フランク・ボブニー氏(享年81歳)が2001年8月15日NHKテレビ番組で述べたものだ。
  「確かに、日本は戦後表向きは大きく変わった様に見えます。しかし、今でも積極的に一歩前へ踏み出して、これはおかしいと言おうとしない気質があります。日本にはブレーキをかけるメカニズムが欠けているのではないかと思います。それは悲劇的な欠点です。」
  政府や企業の隠蔽。改竄、廃棄、言い逃れなど横行する近年、一文字とも古さを感じさせない。より鈍感になっている感じさえするのだ。
  三権分立の箍がはずれ、霧に覆われた様な息苦しい社会が続く。そこへ、日本人気質が融合したとき、誰もが穏やかに暮らし、幸せを感じる世の中の登場は絵空事である。
  国民1人1人が、どの様な社会を目指すのか。今一度考え、行動に移すのは主権者の責務であると考える。この点、「沈黙する善良な市民」は主権者の放棄に等しい。
  民主主義の成熟は人権保障を高める。しかし、日本人気質は民主主義の成果を防ぐ悪である。国民1人1人がこのことに気づき、勇気ある行動が出来たとき、誰もが穏やかに暮らし幸せを感じる世の中が到来するだろう。
  「良きことはカタツムリの速度で動く」(ガンジーの言葉)。ところが、「悪しきことはイノシシの速度で動く」様相を呈している。「勇気」が求められる時代になった、とつくづく思う。

以 上