「今だけ、金だけ、自分だけ」よければいい

 以下は、不世出と評される伊藤塾塾長・弁護士伊藤真が2020年1月1日謹賀新年に述べた中から一部抜粋したものである。
 
  「昨年、日本では様々な政府や企業の不都合な事実が隠蔽されてきました。仮に、明るみになっても隠蔽、改竄、廃棄、言い逃れによって不都合な事実が無かったことにされた事例がこんなに続いた年も珍しい様に思います。ですが、国民もその不誠実さに鈍感になってしまったようで強い怒りの声を聞くことはありませんでした」。

  「『それはおかしい』と言おうとしない気質があります。これは日本人の悲劇的欠点です」と指摘したのは、アメリカの親日派知識人であるフランク・ギニー(享年81歳)である。これは、社会の発展を阻む癌である。ところが、日本人の悲劇的欠点は、拡散の傾向にあると映るのだ。とすれば、国民の自信喪失が急速に進んでいる証である。

  「昨年、頻発した国内での不祥事、コンプライアンス違反事案とこうした環境対策における姿勢は共通した原因がある様に思います。それは『今だけ、金だけ、自分だけ』良ければいいという『倫理観の退廃』です」。

  「今だけ、金だけ、自分だけ」良ければいいという事例は枚挙に遑がない。この手は金に困らない面々に多いようだ。だから、彼等は変化を好まない。また、優生思想に陥り易いタイプでもある。
  彼等は、人間の成長よりも「今だけ。金だけ、自分だけ」良ければいいという方が優先するのだろう。これはとても楽である。長寿時代、「苦あれば楽あり。楽あれば苦あり」である。気を付けたいものだ。

以 上