日本のデモクラシー重篤な病気にかかったか
想田和弘(そうだ かずひろ)(映画界作家。ニューヨーク在住。東京大学文学部卒)は「マガジン9」で下記の様に記している。
「今の日本の状況は、あまりにも多くの主権者が主権者としての責任を放棄した状態であると言わざるを得ない。もっと厳しい言い方をするなら、『衆愚政治』に陥っているとしか言えないのではないか」。
「安倍首相や自民党は、そういう状況をよく理解しているのみならず、歓迎しているのだと思う。そして、人々が政治に無関心であることを、自らの権力を維持するために積極的に利用している」。
「日本のデモクラシーは、かなり重篤な病気にかかっているのだと思う。それは、独裁的な首相の首をすげ替えれば治るというものではない。なぜなら主な病巣は、私達主権者にあるからである。」
安倍政権が何をやっても支持率が下がらない理由が良く分かった。私達はどの様な社会を目指すのか、と問われても「・・・・・」と何も返ってこない理由も分かった。憲法に関心がないことも分かった。「思考停止」という重篤な病気にかかっているのだ。しかし、問題はもっと深刻である。多くの主権者はそのことに気付いていないことだ。
では、なぜ日本のデモクラシーは重篤な病気にかかってしまったのか。「自律心」を醸成する堆肥を作ろうとしなかったことが主因と考える。しかも、それが現在進行形なのだ。子どもの頃から人と同じ様に生きることのメリットを叩き込まれる。「人と違う」と言われて悩む国民性。拍車をかける受験学力の重視。デモクラシーに欠かせない批判精神は、土壌が干ばつしてしまい萌芽が難しいのだ。
※衆愚政治(しゅうぐせいじ)とは、多数の愚民による政治の意で、民主政を揶揄して用いられる言葉。
以 上