「アグレッシブ」な生き方は人生を変える

  「周りの人や環境、法律が変わることを待っていてはだめ。自分が変わらないと何も変わらない」という記述に出会った。述べているのは聴覚障害者である。
  聾者は健聴者へ物事を尋ねることは結構億劫な様だ。しかし、これは聾者に特化したことではない。だが、社会の中でより良く生きて行く為には除去しなければならない壁である。小さな億劫が人生を左右しかねないからだ。
  思うに、物事を尋ねることは他者と比較する傾向のある人にとっては難しい。恥ずかしい。馬鹿にされるのでは。また、不作為が楽でもあるからだ。しかし、これでは社会の中でより良く生きて行くために欠かせない「自律心」の涵養は難しい。
  そこで、聾者にとって「アグレッシブ」な精神を醸成することは、とても大事なことだと考えている。この精神の醸成は教育の力に待つところが大きい。
  ところが、聾者は人の助けを受けなければ生きていけないのだから、と従順さを求める親御さん、教員を見かける。これは偏見であろうと考える。なぜなら、彼等が不自由な生活を強いられているのは彼等のせいではないからだ。これは、聾者の問題を考える際の原点である。
  ところで、道を尋ねた相手がたまたま聾者であった場合、あなただったらどんな態度をとるだろうか。「あっ、すみません」と言って立ち去るのか。それとも、聾者の案内をしっかり受け止めるのか。これは、偏見を瞬時に試される瞬間である。


 

  以 上