老害は公害
〜助長する「波風をたてない」生活風土〜


  老害は、周りの空気を汚染するから公害である。高齢者の数が激増し、また平均寿命が高くなればなるほど「困った老人」が増えるのも当然かも知れない。
  ことは、若いカップルを祝福する新郎宅でのことである。そこに、人の輪に入っていけない自他共に認める70代半ばの老人がいた。
  老人は「身内の催事」であることをいいことに酒の力で喋りまくる。酒が進むにつれて周りが全く見えなくなる。それを誰一人止めようとしない。止める私が逆に制止される始末である。こういうのを「老害」というのだろう。老人は高学歴、高職歴で配偶者も同席していた。
  この空間を日本人が美徳とする「波風をたてない」生活風土が堅くガードする。知性、理性、羞恥心を完全に見失った情景。「老害」を目の当たりにする身内にとってはとても「めぐせ」ものである。長寿社会を迎え、この様な情景が拡散していないだろうか。

  以下は、Yahoo!からの検索によるものである。老害の特徴を5つ挙げている。
 ・自分の人生に自信があり、自説を変えない。
  高齢者特有の心理で「根拠のない自信」だという。違う意見を決して認めようとしない。
 ・多用なライフスタイルを認めず、古い価値観を若い人に強いる。
 ・時間を持てあましているので、とにかく話がくどい。
 ・短気でせっかち、怒りっぽい。
 ・老人であることを利用する。

  ところで、一体どの様な人生観、環境で生きてきた人達が「老害」を発症しやすいのだろうか。
  ・高学歴、高職歴の持ち主
  その裏返しに、受験学力とは無縁の人達が人間の成長を見せてくれることが多いことだ。
  ・「自律心」とは無縁に生きてきた人達
   「自律心」、つまり自分で考え、判断し、決断し、行動する。その結果について責任を取る、という構造である。ここは自信の萌芽である教訓
   と感動の宝庫である。ところが、受験学力では身に付かない代物である。
  ・属性にしがみつく生き方をしている人達
  属性で生きる人は、属性で語ると言われる。これは、自分に「自信」がない証でもある。加えて、老人は変化を恐れる。自分安全が脅かされ
  るからだ。人は不安になればなるほど保身に走る様だ。この傾向は一段と強まることは十分考えられる。
  ・「優生思想的考え」を支えに生きている人達
  自分に自信を持てない人は、自分対する評価がとても気になる。支えにするのは、「優生思想的考え」という悪弊である。
  ・日本人の美徳とする「波風を立てない」という生活風土に囲まれて生きている人達

老害を予防する対策
  とにかく「自信」を回復することだ。至難の業かも知れない。しかし、100歳時代を迎え「老害」ではなく「老益」な人生を送るには欠かせない要素だと考えている。
  その為には、人と比べて自分を測るのではなく、人にはそれぞれ個性があり特徴があるのだから自分を信じる。人がどうであろうと気にしないことだ、と考えている。
老害からの対処法
  老害は殆どの場合自覚がないという。側から「立ち去る」ことが一番の様だ。

  老人は若者の鏡になるべき人達だ。今、生きる道筋を見失い「老害」の手本の様な光景が拡散している。「井の中の蛙大海を知らず」と評される面々が衰えるどころか、増えていると見ている。
  長寿社会が老害を繁殖する土壌に過ぎないとすれば、余りにも淋しい。体力は若者に頼り、知恵は若者へ提供する。この様な好循環は日本社会から消し去られてしまったのか。若者は夢と希望を失い、老人は「老害」を発症する。なんと空しいことか。
  「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べよ」。ガンジーが述べた言葉。高齢になった今、とても心に響く。


 

  以 上