すべては心から始まり、体はそれについてくる


  テニス大坂なおみ選手の大躍進。以下は2018.9.8付、新聞に報道されていた抜粋である。

  【ニューヨーク共同】大坂の大躍進は、今季から師事するドイツ人のサーシャ・バイン氏(33歳)との二人三脚が奏功し、試合中に涙することもあった精神面が安定したことが背景にある。バイン氏は「すべては心から始まり、体はそれについてくる」がモットー。上意下達ではなく、大坂が「友達みたい。彼に対しては自分が出せる」という。

  上意下達の指導方法とは真逆である。時代は既に内面的価値、つまり愛情、共感、信頼などを重視する時代に移行した。変化に対応する柔軟性が求められる時代である。報道で伝わってくる体操界は、変化に対応できない守旧にすがり付く見苦しい姿でしたかない。これは権力者の哀れな末路なのかも知れない。
  そこで思い出すのは、ラグビーW杯、エディ・ジョーンズヘッドコーチが残したものである。以下は、法学館憲法研究所「憲法Voice」2015.10.19へ寄稿した一部である。
  「同氏は記者会見で『マインドセット(思考回路)を変えなければならない。そして、規律を守らせる為、従順にさせる為だけに練習をしている。それでは勝てない』と指摘したのだ。」
  「私には、民主主義の前提である自立心。人間活力の源である多様性を認める精神。人の違いを受け入れる精神。つまりは、憲法の価値を強調していた、と映った。エディ・ジョーンズヘッドコーチはラグビーで勝つより難しい課題を提示した。そこで求められるのは日本人の意識改革である。自立心が芽生え、自信が醸成される構造だ。同調圧力から多様性認める精神への移行が出来るかだ。
  熱くなりやすく冷めやすい日本人気質。勝敗のみ一喜一憂している様では意識改革は絵空事である。」

以 上