親が作る依存症の土壌
「子どもは受け入れて貰ったと感じることで、初めて優しい気持ちや生きる力が生まれる」。このテーマを伝えたいと始めた講演活動。既に14年になる。
先般、依存症予防教育推進事業が青森市で行われた。薬物依存症当事者と、アルコール依存症の家族の話を聞いたが、どちらも親によって生じた現象に映った。つまり、依存症を生む土壌が親によってコツコツと耕され、テーマとは真逆の光景が展開されていたのだ。これは、引きこもりの土壌でもあった。
家庭が子どもの居場所になっていない。指示、強制、そして脅す。愛と自由の空間とは無縁である。子どもに寄り添うなどという発想はないに等しい。その様な状況下に生まれるのが自己否定感である。これでは、子どもに酒を飲むこと、暴れることを煽っている様なものだ。子どもは自己否定感を永年に亘り募り、苦しみから逃れる為、酒、薬に手を伸ばす。その苦しみは、私には想像出来ない。
確かに、格差社会の広がりが親の不安を強めているのかも知れない。その結果、利己主義、自己中が蔓延している。しかし、親が子どもの居場所を奪っていい訳がない。また、子どもの健全な心身の発育は、まず親が子どもの居場所を確保してやることである。悲劇的なのは、親が子どもの居場所を奪っている意識がないことだ。自分は同じことを繰り返し、子どもに変化を求める親達に猛省を促したい。
精神科医の講演は、患者との信頼関係をいかに築くかを基軸に話されていた。これは専門性というより、人間の内面的価値、つまり愛情、共感、信頼などの問題である。これは、受験学力で身に付く代物ではない。自分で学ぶしかない。
以 上