FAX要請に応じない施設管理者

【ケース】
  私は、講演のため指定管理者が管理する「アピオあおもり」をよく利用している。今回もいつもの通り7月23日施設利用申込書2枚をFAXした。担当女性の方から、申込書の内1枚が旧様式でしたが、今回は旧様式で受け付けます。次回からは、新しい様式を使用して下さい、との指導があった。そこで、私は直ちに新様式のFAX依頼をした。それに対して担当者は、アピオアオモリのホームページからダウンロードするか、受付カウンターに用意していますので貰って下さい。結局、依頼したFAXは届かなかった。そこで、私は監督官庁である「青少年・男女共同参画課」へ検証と指導を要請した。FAXが届いたのは7月26日であった。


【資 料】
  以下は、青森県知事宛に出した要請書である。


指示・命令の発動を要請

1.アピオあおもり会場申込に関しての検証と指導を御庁に対して下記の通り要請した。

  「本日、FAXを利用して会場の申込を致しました。ところが、申込用紙が一部変更になっているということでした。今回の会場申込は旧申込書で受付するということでした。
  そこで、変更になった申込用紙をFAX依頼をしました。ところが、以下の理由で断ってきました。

  @ホームページからダウンロードして下さい。
  Aこちらへ来た際に窓口で貰って下さい。

  これは、行政の体質を勘違いしているのでしょう。行政は国民に対するサービス業であることをきちんと学ぶ必要性を感じます。本庁による検証と指導を要請致します。その結果について回答をお願い致します。

2.これに対して、御庁から以下の回答がきた(下線は筆者による)。

  「アピオあおもりを御利用頂きありがとうございます。御指摘のありました7月23日のアピオあおもり会場申込の際の電話応対に関して、貸館対応にあたった職員及び館長からの状況を確認しました。
  アピオあおもりとしては、今回の会場申込は再提出して貰わなくても対応可能であり、鳴井様には定期的に御利用頂いていることから、次回来館時に受付に常備している用紙をお持ち頂ければよいのではないかと思い、その様にお答えしたとのことでした。FAXでの用紙送付を断る意図は全くなかったものです。
  しかしながら、結果としてFAXで用紙を送って欲しいとの申し出に対し、送って貰えないとの誤解が生じたのであれば、誠に申し訳なく、お詫び申し上げます。
  当課としましては、今後この様なことがないよう、アピオあおもり館長に対し、職員に対する注意・改善指導を要請しました。
  今後も、県民に愛され、利用される施設として、利用者の皆様へのサービス向上に努めて参りますので、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。」

  確かに、アピオあおもり指定管理者に対する監督機関である県の改善指導が「行政指導」の性質を帯びているのであれば、従うか否かは任意である。未だに「申込用紙」がFAXされていないのはその意思表示の表れであろう。
  しかし、同指定管理者と監督機関である県と一体であると評価すれば、指定管理者の行為は行政行為にあたる。
  管理者側は、会場申込を「申込用紙」のFAX送信で処理をする。利用者側には、「申込用紙」のFAX依頼を拒否する。これは恣意的運用と言わざるを得ない。利用する側に立っての行為とは評価できず、行政の放棄である。行政機関は人権保障の為に存在する。公共施設を利用する権利を制限する様な行為は厳に慎まなければならない。
  ついては、指定管理者に対して「申込用紙」をFAXするよう指示・命令するよう要請する。


【検 証】
  監督官庁が「アピオあもり館長に対し、職員に対する注意・改善指導を要請しました。」にも関わらずFAXするのに、なぜ4日もかかったのか。

  個別具体的に、要請・指導が出来ていないため、要請・指導が相手に伝わっていないこと。そして、双方に「自立心」が涵養されていなかった  ことが考えられる。
  中でも見逃せないのは、「自立心」の弱さである。「自立心」の弱さは、自分に対する評価がとても気になる。その結果、虚栄心・見栄が強まり、他人からの批判、注意、指導等は受け入れ難い。その様な事柄を親からも、教師からも体験すること無く育った人間、いわゆる「良い子」はガラスの様に壊れやすい。
  この流れを如実に表しているのが下線部分である。つまり、「FAXでの用紙送付を断る意図は全くなかった」「送って貰えないとの誤解が生じたのであれば」。要請・指導をする側、される側、共に自分に対する評価を維持する為、悪戦苦闘している姿が読み取れる。
  彼等は感動と教訓とは無縁に生きている人達である。一方で、自分の評価を高める為に、従順さに長けている。だから保身に走りやすい。しかし、考える力が育たない。批判されるなどは想定外である。これは人間の成長を阻み、劣等感を生む元祖である。今、この手の人間が繁殖しすぎている気がしてならない。そして、これが行政マンであれば、行政サービスの劣化として表れる。
   

以 上