熱海・聴覚障害者宿泊拒否問題を考える

  またか、という差別が発生していた。熱海市にある「姫の沢自然の家」が聴覚障害者の宿泊を断っていたのだ。Yahoo!ニュースで知った。この様なケースがなぜ後を絶たないのか。特に今回見逃せないのは、施設の管理者が教育委員会であることだ。
  「無知」は怖い。偏見を生み、不安を募るからだ。彼等は、この構造からの脱却が出来ていないのだ。更に、この構造に拍車をかけるのが「否定語」が好きな国民性である。熱海市は障がい者差別解消法の趣旨を改めて理解し、全職員に徹底する様指示を出したという。しかし、大事なのは全職員に指示することではない。「無知」を「知」に変換することである。その為に何をすべきかを考え、実践するすることである。
  その一方で、聴覚障害者側からの啓蒙活動をより一層強化する必要性を感じる。断られた幹事の型は「断らないで下さい」と述べていた。そうではなく、「何故断るのですか」と問い質すことが大事かと考える。
  徹底した個人主義の立場に立つ日本国憲法。全ての価値の源泉は個人にある。これを受けての障害者差別解消法。全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら構成する社会の実現に資することを目的とする。これが何故国民に浸透しないのか。集団主義では「自立心」は不要である。その結果だろうか。
  健常者の「無知」は「障害者差別解消法」では解消できない。「内面的価値」つまり、愛情・共感・信頼などを高めることにかかっている様だ。

以 上