背番号「17」はまぶしかった。

  良いことは指示がなくてもやる。一方、悪いことでも指示があればやる。最近、スポーツ選手の全く異なる資質をみた。
  春季高校野球東北大会準決勝、弘前東高校対聖光学園。見たことのないファインプレーを見た。
  弘前東の攻撃場面で、打者のファールチップが捕手の足に当たったのだ。捕手が痛そうにしゃがみ込んだ際、間髪入れず、一直線に全力疾走で駆け寄ったのは「17番」を付けた三塁コーチャーである。ポケットに入れていた痛み止めスプレーをあてがう為である。多くの観衆の前で、しかも緊迫した状況下で、その様な行動に出れるとは。
  これは、技術面での指導のみでは到底身に付かない。部長、監督の指導の奥深さを見る思いである。勿論、家庭環境も大きく影響しているに違いない。
  目標と目的をしっかり区別したスポーツ指導は、子ども達の成長に大きな影響を与える。不確かな時代である。内面的価値、つまり愛情、共感、信頼などの重要性は高まるばかりだ。
  一方、監督、コーチの指示が反則行為であることを認識しながら、反則行為に及んだ大学のアメフト選手。しかも、反則行為の経緯を記者会見を開き、長々と能書きをたれる姿。同じスポーツ選手でありながら何故こんなにも違うのか。
  「自分で考え、行動し、その結果について責任をとる」。これは、教育の目的である。この構造を身に付ける為に、高等教育機関である大学に在籍していることを忘れてはならない。
  「勇気がなければ、他のすべての資質は意味をなさない」。述べたのは、第二次世界大戦中の英国首相ウインストン・チャーチルである。