民主主義を侵食する家庭環境の変化
家庭環境の変化が民主主義の前提である自立心の涵養を難しくしていないだろうか。以下は、Yahoo!ニュースからの引用である。
消えゆく反抗期 中学生の8割「親子円満」?精神的自律の危機も
中学生の8割が親との関係は円満だと考えている反面、この年代に特有の「反抗期」の傾向が失われている実態が、教育シンクタンク「ベネッセ未来教育センター」の意識調査から浮かんだ。調査をまとめた深谷昌志・東京成徳大学子ども学部教授は「一見、好ましい結果に見えるが、子どもが親に依存し続け、精神的自律が遅れている。社会全体で見ると心配な結果だ」と指摘している。調査は2004年2月、関東中学。
今から14年前の調査結果である。が、その傾向は更に強まっていると映る。これは、家庭環境の構築が父主導型から母主導型への移行が急速に進んでいる結果と考えている。男性に比べ女性は、「波風」を立てないことを美徳と捉え、子ども達に従順さを求める傾向が強いと考えられるからだ。お父さんは、家庭と外部の接点は全てお母さん任せ。その結果、「考える力」が家庭内から奪われてしまっているのだ。
精神的自立の遅れは、人生観に大きな影響を及ぼすことになる。受け身の人生観は、「皆さんがそうしています」という魔法の言葉にとても弱い。瞬時に思考停止に陥るからだ。その一方で、自分に対する他の評価が気になり、常に「群れ」の中に身を置かなくては不安でならない。虚栄心、見栄が強まり、劣等感の温床になりかねないのだ。しかも、「個」が弱いため、人間活力の源である多様性を認める精神、人の違いを認める精神等、内面的価値に視点がいかない。とかく利己主義の傾向を強めることになる。
更に、精神的自立の遅れは社会に多大な影響を及ぼすことになる。世論を形成、政治を動かす膨大なマグマを秘めているからだ。民主主義の進化に欠かせない「批判精神」「想像力」などとは無縁のマグマである。悲劇的なのは、精神的自立の遅れに民主主義を破壊するマグマが秘められていることに本人が気付かないことだ。
以 上