障がい者に人権教育の徹底を

 聾学校の「学校経営方針」を読んで感じた。聴覚障害者にとって、平等な社会が遠いのは聾学校の教育のあり方にあるのではないか、と。
  確かに、同方針は憲法第13条前段「すべて国民は、個人として尊重される」の精神に則り、とても立派である。しかし、全教職員自身が徹底した個人主義に立ち、「個」を磨かない限り、絵空事に過ぎないのでは、と強い疑問も抱いた。受け身の人生観であれば、至難の業であろう。
  そして、不思議なことに、子ども達にとって重要な、「権利」という文言が全く見当たらないのだ。「児童の権利に関する条約」は、子どもは教育の主体であって、客体ではないと宣言する。特に、障がい者にとって「権利」を理解することは、長い人生を乗り切るには重要なテーマである。また、“みんな違ってみんな一緒”共生社会の構築には欠かせない武器である。この視点が、共生社会構築の鍵を握る。哀れみを施す発想に頼っていないだろうか。無知、偏見、不安の構造に呪縛されていないだろうか。人権を学び、実践することで壁は打ち壊されると考える。
  同法第12条前段は「この憲法は国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と規定する。人権は、主張しないと失うということもしっかり学んで欲しい。
  人権を考える際、「権利は義務と共にある」と教える教師がいると聞く。権利は、何かの義務を履行する代わりとして与えられるものではない。税金未納者に「表現の自由」を与えない等とは、聞いたことがない。

                                                                                 以 上