原発の再稼働を差し止めた裁判長の異動先

  民主主義で救えない人を救うのが司法の使命である。これを体現してくれた原発再稼働を差し止めた福井地裁。「照らない灯火に灯りを灯す」。憲法の根本精神を説く語り口は熱く、考える道筋を示唆してくれた。何度繰り返して読んだことか。
  ところが、裁判長樋口英明はその後、家裁へ異動されたという。「露骨な左遷」だと指摘する元裁判官瀬木比呂志さん。「国に盾突く判決は書くな」との見せしめであろうか。だとすれば、国民の信頼を大きく損なう。同氏は「裁判所は権力のチェック機構なはずだが、日本の裁判所は権力の補完機関」とも厳しく指摘する。
  「職権の独立」(憲法76条3項)に憧れ、裁判官を志望した若者達。これでは、やる気を削ぎ、ヒラメ裁判官が繁殖しても何もおかしくない。
  憲法の根本精神に職責をかけ、良心に従って判断した裁判官。家裁へ異動を命じられるということはどういうことなのか。メディアは国民の知る権利に奉仕して欲しい。司法を支えるのは国民の信頼のみである。

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