居酒屋予約拒否事件

  性差別、年齢差別、障害差別、中でも障害差別の壁は高く厚い。兵庫で起きた聴覚障害が居酒屋予約を拒否された事件。聴覚障害者への接し方が分からず対応できないとして、予約を断ったというのが理由のようだ。これが、京都新聞に載ったら、インターネット上で「店が悪いとは思えない」と、聴覚障害者側を非難する多くのコメントが相次いだというのだ(日本聴力障害新聞9月1日号より)。
  まず、障害差別の根深さを感じた。私は研修のため、世界を約20ヶ国を訪問した。酒を飲むのに言葉の不自由を感じたことはなかった。言葉は不要だからだ。だから、「対応できない」のではなく、「対応しようとしなかった」だけの話である。では、なぜ対応しようとしなかったのか。無知、偏見、不安の流れの結果なのだ。不安から逃れたいが為の排除の感情、障害差別の根深さが如実に現れたのだ。
  これに対し、「聴覚障害者側を非難する多くのコメントが相次いだ」というのだ。これは予約拒否よりも怖い。この類いの面々がウヨウヨしている。マウンティング思考によって自分を支えようとする面々だ。これが最近頓に高まっている。これは国民が疲弊し、自信を失っている証である。ここは、慎重に、冷静に、注意しなければならない。
  確かに、関わり合うことが少なかったことからくる不安があるかも知れない。しかし、不安から生じる問題は障がい者に特化したことではない。
  4月に障がい者差別解消法が施行された。相手の理解を待つのではなく、聴覚障害者自らの積極的なアプローチがとても大事なことだと思う。

                                                                               以 上