日本は民主発展途上国
国際NGOによる「報道の自由度ランキング」日本は72位という評価だ。これは一体何を意味するのか。
そもそも民主主義は国民が権力を監視し、批判し、改善を要求することが出来るから進歩するのであろう。その為には、「正確な情報」は欠かせない。その「正確な情報」が国民に届いていないのだ。つまり、日本は民主発展途上国であるということだ。
確かに、現政権の強権的なメディア介入には目に余るものがある。しかし、後進国ほどその傾向は強い。これは、今に始まったことではない。一方、介入される側の足腰の弱さも目に余る。「自主規制・付度・萎縮」などという空気が社内に充満している様に思われるのだ。その感を強くしたのは、1000年に一度の津波と原発事故以降だ。地元紙「読者欄」、批判的意見は殆ど掲載しなくなってしまった。
「民意」とは何か。参院選しかり、都知事選しかり、イメージ戦に勝るものが勝利しているのだ。反映されているものは「民意」ではなく「情緒」なのだ。民意が反映されない政策決定は、かえって危険な事態をもたらす。これは、歴史の教訓である。深刻なのは、このイメージ戦にメディアも大いに加担していることだ。特に、直近の都知事選は最たるものだ。目にしたのは、「女性」とか。「一人」でとか。「組織を相手に」とか。都民の知りたい情報を殆ど提供していないのだ。これでは、民主主義は早晩崩壊する。
では、メディアは何をなすべきか。「正確な情報」をふんだんに国民に提供し、世論を味方に付けることだ。その世論をバックに強権的なメディア介入に毅然と立ち向かうことだ。その覚悟があるかだ。
新聞社、テレビ局の幹部を会食に招く政府。それに応じる面々。これはこれ、それはそれ、等という覚悟の出来ている人間はそんなに居るものではない。
民主主義の後退へ加担することは、メディアの役割ではない。こんな不確かな時代だからこそ、メディアの真価を発揮して欲しいものだ。
以 上