恩恵的歴史を辿ってきたレジームからの脱却

  「声をあげることで誰にも良い社会へ」。これは、日本聴力障害新聞2月1日号に躍っていた見出しである。新聞によると、安倍昭恵首相夫人が全日本ろうあ連盟主催の「情報アクセシビリティ・フォーラム」式典でその様なことを述べたとある。私には、ただの気休めに映った。そもそも、当人が障がい者問題に声をあげた等聞いたことがないからだ。
  確かに、民主主義を成熟させるには社会の理不尽や政治家、政党の言動に怒りを向け「声をあげる」ことは、とても大事なことだ。ですが、障がい者はさらに恩恵的歴史を辿ってきたレジームからの脱却を図らなければならないのだ。これは「闘い」である。その為には、聴覚障害を隠すのではなく、ありのままの姿を晒すことだ。無知から偏見が生まれ、差別の萌芽が広がるからだ。どちらも勇気を伴う。
  今、「完全参加と平等」な社会の実現を目指し、障がい者団体が、厚生労働省の官僚を相手に壮絶な闘いを繰り広げている。安倍昭恵首相夫人はご存じだろうか。是非、声をあげて欲しい。

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