有権者によっておきた事態
あの立派な建造物(国会議事堂)の中で立憲主義を破壊するなどと、思っていた人がいただろうか。
立憲主義を数の力でねじ伏せ、強行採決した安全保障関連法。この前の話だ。なのに、内閣支持率が上がっているのだ。民意の多数がその多数になっていない国会。「一票の格差」訴訟は「違憲状態」と言いながら、無効判決を出せない最高裁。三権分立は崩壊。これら全ては有権者によって起こったものだ。だとすれば、そのツケの覚悟は出来ているのだろか。悲劇が起きてからでは平常心で振る舞うことは難しい。
今後は「法の支配」は崩れ、「人の支配」が一段と進むことになろう。具体的には、息苦しい社会がさらに進み、生き抜くのではなく、生かされている風景が一段と広がることだろう。
これは、決して国民を幸せにする構造ではない。心身共に健康で生き延びるには相当な覚悟が必要だ。
以 上
(2015.12.10付毎日新聞「みんなの広場」掲載)