国を滅ぼす自己愛

  「憲法改正参院選挙公約に」。25日付地元紙朝刊を躍っていた。「安保法」、丁寧な説明が不可能とみたか、一気に憲法改正を企む。
  著名な外国人が指摘する。「日本人の精神的特徴は自己批判を知らないということである。あるのは自己愛、つまりナルシシズムだけである」。アベ・自民党の発想は国民の精神的特徴を先取りしてのことだろう。つまり、法が成立したのだから仕方がない。ならば憲法もそれに近づけてよいのでは、と。いわゆる「空気的大衆社会」の体質を読んでの戦略は見事だ。
  人権保障のため幾多の血を流し誕生させた「立憲主義」「法の支配」。我が国では、醸成半ばで内閣、国会が破壊、踏み潰してしまった。
  民主主義で救えない人を救うのが裁判所の使命。今度は、人権最後の砦である裁判所が試される。閉鎖的な検察組織が社会の変化に適応出来なかった(検察OB)。と世論の批判に晒されたのはごく最近のことだ。
  立憲主義、法の支配を死守できるか。しかし、ものを言うのは、主権者一人一人の立憲主義、法の支配に対する熱い思いである。国の存亡という危機意識である。主権者はその思いを裁判官に伝える責務がある。
  先進諸国では、聞いたこともない立憲主義の破壊。原因は何か。もちろん、立憲主義を破壊したい政党が政権を握っているからだ。ではなぜ、国民がその様な政党を選ぶのか。主権者の「自己愛」の強まりにある、と考える。ではなぜ今、「自己愛」が強まっているのか。精神科医、心理学者にしっかり分析して欲しい。そして、原因療法を伝えて欲しい。 

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