甘い、酸っぱいは人によってその感じ方は異なるが、糖酸比で数値化される。糖酸比=糖度÷酸度
甘味種(糖酸比41以上) | 甘酸適和種(糖酸比30〜40) | 酸味種(糖酸比29以下) | |||
品種 | 糖酸比 | 品種 | 糖酸比 | 品種 | 糖酸比 |
世界一 | 48 | つがる | 36 | 紅玉 | 16 |
王林 | 41 | 北斗 | 40 | 陸奥 | 21 |
印度 | 58 | ふじ | 31 | ジョナゴールド | 23 |
糖の種類
一口に糖と言っても、様々な種類に分けられ、その甘さの程度にも差がある。
蔗糖を100としたときの甘さの程度
糖の種類 | 甘さの程度 | 糖の種類 | 甘さの程度 | 糖の種類 | 甘さの程度 | 糖の種類 | 甘さの程度 | 糖の種類 | 甘さの程度 |
蔗糖 | 100 | 果糖 | 173 | ブドウ糖 | 74 | 転化糖 | 127 | 麦芽糖 | 32 |
糖の種類 | 甘さの程度 | 糖の種類 | 甘さの程度 | 糖の種類 | 甘さの程度 | 糖の種類 | 甘さの程度 |
キシロース | 40 | ガラクトース | 32 | グリセリン | 49 | 乳糖 | 16 |
りんごは果糖、ブドウ糖、蔗糖が含まれ、果糖が一番多く含まれている。
果糖にはアルファ型とベータ型があり、ベータ型はアルファ型の3倍の甘さを示す。
果糖は冷やすとアルファ型からベータ型に変化して、甘さを増す。果糖、ブドウ糖とも低温で甘く、50度以上になると甘さが減少する。 蔗糖は条件が変わっても、甘さに変化がない。
また低温で湿度が高いと長もちするので、ポリ袋等に入れて、冷蔵庫に保管した方が良い。
葉が光合成を行い、でんぷんとソルビトール(糖の種類)を作り、果実に運ばれる。 ソルビトールが大量に運ばれると、通常は空気が貯まっている果実の細胞と細胞の隙間に貯まる。これが蜜である。 ソルビトールは糖としては甘みは低いが、熟度がすすむとこの状態になるので、完熟したものの目安になる。
なおこの蜜の入り方は品種より異なる。「北斗」「ふじ」は沢山の蜜がはいるが、「王林」「つがる」は殆ど入らない。
また貯蔵中に少しづつ脱水すると、この蜜も少しづつ消えていく。しかし糖の量は変わらない。
りんごは割ると短時間に、やや褐色に果肉が変色する。 これは果肉の成分(タンニン、クエルセチン色素、クロロゲン酸等)が酵素(オキシターゼ、パーオキシタゼ)によって酸化されるためである。
酵素の働きを押さえるには、ビタミンC液、食塩水に浸すと良い。食塩水はあまり濃いと味が落ちるので、0.85%くらいの濃度に15分間くらい浸す。
つがるやジョナゴールドは、時折果皮がべとつくものがあり、人工的にワックス処理をしているのでは無いかと指摘されることがある。
これは、品種が遺伝的に本来持っている性質として、熟度が進むと果皮にリノール酸やオレイン酸が分泌されそれらが果皮のろう物質(メリシン酸、ノナコサン)を溶かしている現象で、果実が自然に果皮の保護をしている状態である。
リノール酸とオレイン酸は不飽和脂肪酸といわれ、とくにリノール酸はビタミンFとして栄養価が注目されているもので、食用上なんの支障もない。
北斗は心の部分が黒っぽくなるものがある。これは成育中に起こる生理的なもので、食味や健康面で心配は無い。
色の良くついたものほど甘みが強く味も濃い、
しかし袋をかけて栽培したりんごは、明るい色は付いているが、甘みが劣ることが多い。着色は鈍くても袋をかけない無袋りんごが甘い。 無袋りんごは「サン○○」という愛称がついて販売されていることが多い。
青りんごと言われる黄色品種では、着色が黄色が強いほど熟度は進んでいる。ただし過熟なこともあるので注意する。
りんごはお尻を見て、地色が緑が少なく、黄色がかっているりんごが食べ頃である。ただし長もちはしない。
りんごのかおりは、アルコール類(92%)エステル類(2%)カルボニル(6%)酸類(微量)である。
果実特有のかおりはエステル類の種類と量による。
よく熟したものほど、特有の良い香りを出す。
熟し過ぎて、発酵臭を出すものは美味しくない。
様々な自然条件の中で栽培されるのであるから、毎年同じ大きさものが栽培されるとは限らない。
その年に栽培された中位のりんごがもっとも良い。
大きすぎるのは大味であったり、小さいのは甘みが足りない時がある。
同じ大きさでも、しっとりと重い(比重が大きい)りんごほど熟しており、蜜入りも多い。
果実を指ではじいた時、はずんだ音がするりんごは新鮮であり、鈍い音がするのは、鮮度が落ちている。
ツルのみずみずしいのは新鮮であり、しなびているのは鮮度が落ちている。