1993年4月
施設長 野 上 四 郎
ふきのとうが芽を吹きはじめた。今年は桜の開花も早いと言う。農家の人たちは早ばやと稲の育苗ケースの準備やビニールハウス作りに忙しく立ち向かっている。
私たちもまたこの春から「福祉オンブズマン制度」に取り組むことになった。
重度障害者の生活施設で一番大切なことは、ここを利用している人達ひとり一人に、自尊心と自立の心を損うことなく、その人に見合ったケアを提供することである。
施設職員は現在、物理的にも人員組織の面でも決して充分な状況に置かれているわけではないが、四人部屋に象徴されるような現実の中で、どうしたならば「入所している障害者もまた、豊かで安定した人並みの地域生活を送れるようになるか」を目標に、試行錯誤を重ねてきた。
これからも、内潟療護園に入所している障害者と家族、この施設が行っているデイサービスや「福祉あんぜん電話」(緊急通報システム)の利用者、周辺の町村に住まいしながら、長い年月にわたってこの施設と継続的に係わってきたボランティアなどから寄せられる苦情、要望や意見を「地域住民の側に立つ、ボランティアとしてのオンブズマン」に受け止めてもらうつもりである。
自分たちだけでは、ひとりよがりになりやすい。そこで内潟療護園の「施設ケアの在り方」、過疎地域での「地域福祉の拠点としての施設運営の在り方」を客観的な立場から検討してもらう。それがこの制度のねらいである。
施設利用者や地域住民の苦情や訴えに基づいて問題点を明らかにし、施設の在り方や職員の働きについて、改善のための提言をしてもらう。施設側は最大限にそれを尊重するという仕組である。
幸いにして、「四人のオンブズマン」については気さくに苦情や訴えを受けていただけるような誠実な人柄と、人を差別しない優れた感性に恵まれた人を得ることができた。
われわれは、この「福祉オンブズマン制度」の趣旨を活かし、この制度を定着させることによって、「地域福祉の拠点としてのこれからの新しい民間施設の在り方」を謙虚に模索していきたいと思っている。
(註)私たちがこの試みを始めるに当たって、「東京都多摩更正園苦情処理運営委員会」
の皆さんに多くのご教示を頂くと共に、東京都中野区の「自治体福祉オンブズマン
制度」を参考にさせて頂きました。有難うございました。
いろいろなサービスに対する苦情を、第三者が受け付けて調査する制度のことです。
内潟療護園でも、園長の諮問機関として「オンブズマン委員会」を設置し、入所している人やデイサービスや福祉あんぜん電話などを利用している人、ボランティアなどからの苦情や相談などを受け付けることにしました。
施設で生活している人や施設のサービスを受けている人たちには、いろいろと不満もあると思います。でも、そういうことを園長や職員に遠慮して、直接
言えない人もいるでしょう。そのまま黙っていても、何も解決されないし、もっと悪くなることがあるかも知れません。
でも、みなさんの苦情や不満・相談などを聞いてくれて、解決できるように園長や施設に伝えてくれる人がいれば、もっと自由に意見を言えるようになるでしょう。
みなさんの苦情や相談などを受け付ける人をオンブズマンといいます。内潟療護園では、4人のオンブズマンによる委員会を組織しました。内潟療護園と利害関係のない地域の人や専門家が定期的に来園して相談を受けたり、苦情を聞いてくれます。この委員会は、苦情があったときは詳しく調査して、中立で公正な審査をしてくれます。そして、この結果は、苦情を申し立てた人と園長に対して報告されます。
報告を受けた園長は、改善しなければならないことがあれば早急にこれを改善するように努力し、とうしてもできない場合にはその理由を委員会に報告しなければなりません。
もちろん誰がどのような内容のことを申し立てたかとしいうプライバシーは、きちんと守られます。これが「内潟療護園オンブズマン委員会」の制度です。
4人のメンバーが、いつでもみなさんからの相談や苦情を受け付けてくれます。電話や手紙で相談しても良いですし、毎月の相談日にも来園しますので気軽に相談してください。
内潟療護園オンブズマン委員会(甲)と社会福祉法人幸友会(乙)は、以下に述べる
とおり、オンブズマン協約を締結する。
第1条(目的)
甲及び乙は、この協約が、乙の利用者の権利・利益を擁護し、乙が提供する福祉サービ
スの改善向上を目的とすることを十分理解し、誠実に次条以下の各自の役割を果たす。
第2条(甲の役割)
1 甲のメンバーは、乙を月1回以上訪問する。
2 甲は、乙に対して以下の職務を行う。
@乙の運営する福祉サービスの利用者及びその家族、職員等(以下「利用者等」とい
う)から、施設の利用やこれに関連する事項に関する相談を受け、苦情・要望を把
握する(なお、苦情・要望等の相談を受ける機会は乙を訪問した際に受ける相談に
限らない)。
3 甲のメンバーは、より良いオンブズマン活動を行うために、研修に努める。
第3条(乙の役割)
1 乙は、利用者等に対して甲の存在・目的・連絡方法等を周知する。
2 乙は、2名のオンブズマン協力員を置く。
オンブズマン協力員は、甲の目的・役割について、利用者のオンブズマン利用が円
滑に行われるように、事前に調整を行う。
3 乙は、甲から求められたときは、事業所への立入りを認め、甲の調査に対し回答す
る。
4 乙は、甲から求められたときは、甲の調査事項に関連する資料を提出する。
5 乙は、甲及び利用者等からの苦情・要望につき、甲との協議に誠実に応じる。
6 乙は、甲から改善勧告を受けたときは、相当の期間内に是正措置を講じ、是正した
内容について甲に報告する。
7 乙は、甲に苦情・要望等の相談をした利用者等の詮索を行わない。
8 乙は、甲に苦情・要望等を申し出た利用者等に対し、苦情・要望等を行ったことを
理由として不利益な取り扱いをしない。
9 乙は、甲の活動に協力した職員に対し、雇用契約上、不利益な取り扱いをしない。
10 乙は、甲から是正勧告を受けたことを契機として、乙の職員に雇用契約上不利益な
処分をする必要が生じた場合には、必ず事実関係を再調査し、その処分は、乙の責
任と判断によって行う。
11 乙は、甲のメンバーが研修に参加するための費用を負担する。
第4条(会議等)
1 甲及び乙は、年3回合同して会議を行う。
2 甲は、乙に対し、合同会議の後、速やかにオンブズマンの活動に関し、報告書を提
出する。
3 乙は、甲の提出した報告書に対し、回答書を提出する。
4 甲の報告書及び乙の回答書は公表し、甲及び乙はその内容をできる限り乙の利用者
に対し分かりやすく説明する。
第5条(運営費の支援)
乙は別に定める運営費を甲に支払う。
平成16年12月5日現在
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12年度
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13年度 |
14年度
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15年度
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16年度
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計
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| 利用者からの相談 |
12件
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18件
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14件
|
18件
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-
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62件
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| オンブズマン独自の提言 |
1件
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1件
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3件
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0件
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-
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5件
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合計
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67件
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※平成16年度については、未集計
- 入所者のベッドで、職員が昼休みに休憩している
- 施設入り口の車イスストッパーの撤去
- 繕い物を頼んでも、なかなかやってもらえない
- 男性職員をふやして欲しい(同性介護の徹底)
- 排便介助後の職員の手洗いが不徹底
- 東京へ1週間旅行に行きたいので、ボランティアをお願いしたい
- 飲酒後に他の入所者や職員に迷惑をかけている人が居るので、自粛させて
- きざみ食事不満の訴え
- 喫煙制限の不満の訴え
- 特定ベテラン職員の入所者に対する心ない態度について
- 同室者の荷物整理の仕分けにかかわって、部屋替え希望
- 福祉ホーム開設にかかわって、優秀な職員が引き抜かれることへの不安及び職員体制への不安
- 福祉ホーム開設を契機に、療護園の個室かを図る道は開けない
- 福祉ホーム入所後に、病状が悪化したり老齢化した時療護園に再び入所できるのか
- きざみ食について
- 園外受診の際、看護婦に付き添ってもらいたい
- 病状が進行しているので、特に職員の介護をお願いしたい
- 同室者が騒がしい
- オンブズマンの態度・行動について
- 食事に対する要望
- 利用者間の人間関係の問題
- 実習生へのケース記録の開示について
- 福祉ホームに建物に対する要望
- 自動車運転免許の書き換え手続について
- 利用者への職員の対応について
- 現金確認書がなかなか出てこない
- パチンコ中、うるさいので戸を閉めて欲しい
- きりん館の玄関を自動ドアにして欲しい
- 飲酒後に他の入所者にからむ人が居て困る
- 新人職員の介護技術への不満
- 食後のお茶、おしぼりが遅い
- 同室者のドアの開け閉めがうるさい
- 外出の際の運転手を同じ人にして欲しい
- 家族のおいていったおやつの管理への不満
- リフト付の車を貸して欲しい
- 諸記録の本人に見せて欲しい
- きりん館の職員をふやして欲しい
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