「35th2011 日本ホビーショーに、招待デザイナーとして参加いたしました。

その際に製作いたしました、ニットの椅子をご紹介いたします。

 

まずはじめに…。
椅子は、本物の、人が座れる椅子が土台となっております。
その椅子のすべての部分を編み地でくるみ、デコレーションしております。

当然のことながら、様々なパーツが組み合わされて、椅子が出来ておりますから、
そのすべてを編み地でくるむ作業は、まさに、アクロバットな作業であることを
ご想像頂きながらご覧頂きたいと思います(笑)

 

作品は、「ドーナツ椅子」「フルーツ椅子」の2点です。
下に長くストロークしますが、どうぞ最後までお楽しみいただけますと嬉しいです。

 

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ホビーショーのテーマが
マジック(=魔法)の世界ですので、見に来てくださった方を
どうしたら、魔法の世界へお連れできるのか…という事を考えました。


その方法として考えたのが「大きさのバランスを崩す」という事です。
人は、バランスが崩れたものを見た時に、良くも悪くも印象的に残るものです。


大きさの不思議な対比を見せることで
「もしかして、ミニチュアの椅子?」と思わせたり
「自分が小さくなってしまったの?」など、
見ている人の感覚を惑わし、不思議の世界に入り込んだような空間を作りたいと思いました。

そうして完成したのが、この作品です!!

 

 

 

「ドーナツ椅子」「フルーツ椅子」

 

 

 

まずは、ドーナツ椅子から、ご紹介いたします。

先に申し上げました通り、椅子は、実際に人が座れる椅子を使用しております。
この現実的サイズの椅子に、
あり得ないほど巨大なドーナツ(私のウエストが入る位です)と
一方で、現実的な大きさのドーナツを脚に履かせ、バランスを崩したパーツを配置しました。


編んでいる最中は、
巨大すぎて「本当にこれでいいのか?」と自分でも不安になるほどでしたが、
完成した作品を客観的に見た時に「マジック」という言葉がピッタリ当てはまり、
この時の達成感は今でも忘れられません。

 

 

 

 

横から見ると、ドーナツの巨大さがわかるでしょう?

 

 

反対側には、ドーナツをつなげたオブジェで飾り付けしました。

 

 

後ろ側はこのような感じです。
巨大ドーナツを邪魔しない位のパーツの量ですが、
後ろ側も手は抜きませんよ〜(笑)

 

 

「マジックワールド(不思議の国)」と言えば、
アリスの世界をイメージしますが、このティータイムを思わせる
パーツは、アリスのイメージから製作いたしました。

 

 

 

椅子の脚に履かせたドーナツも、色とりどり、素材も色々です。

 

 

ふわふわのハートの部分。

 

 

 

 

さて、次にご紹介しますのは

「フルーツ椅子」です。

 

こちらも、マジックワールドの世界観を意識して、
巨大フルーツと、現実的な大きさのフルーツでデコレーションし、
バランスを崩す方法をとっています。

 

 

 

 

リンゴの皮、バナナの皮がむけて、その皮がぐるぐると
椅子の背もたれに巻き付いているのです。

ここで表現したかったのは、時間の経過と、自然の力強さ。
長い時間をかけて木の根が力強くはっていく様子をこのフルーツの皮に置き換えてみました。

不思議の国の、不思議な時間経過を表しております。

 

 

 

右側面はこのような感じです。
バナナの皮が巻き付いている様子が良く見えるかと思います。
バナナの内側の白くモヤモヤした部分の表現にもリアル感を持たせています。
(モヘアの糸で表現)

 

 

 

フルーツ椅子には、イチゴとパインを履かせました。

 

 

 

 

座面を上から見た感じです。

すごく大変だったのが、リンゴの真ん中をへこませる作業!!

大きすぎて、完成してから針を通して糸で固定するという事は出来ないので、
編みながら、計画的にへこます為の裏技を使います。
(裏技は企業秘密なんですけどね…笑)

 

 

椅子の後ろ側から見た感じです。

 

 

最後に!!

 

この椅子じゃ、座れないよぉぉ〜!!なーんて、

ナンセンスな事は言わないでくださいね。

椅子も、人が座るためのものという固定概念は捨て、

作品を展示する為の一つのコーナーと考えると、アイデアも次々に浮かんできますね!

 

 

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