ニホンザリガニ王国!
1.研究の動機と進め方
今年の拓君の弁論から、自然と人間の係わりについて深く考えさせられました。拓君は、一冊の本との出会いから『人間と自然との関係』気づいたのです。
学校の裏山では今,杉やヒバの伐採が行われています.今、世界中で『森林の乱伐』『大気汚染』『動物の乱獲』が行われ、自然は悲しいまでに破壊されているそうです。
伐採さているすぐ近くには「ニホンザリガニ」がいます。今年から、ぼくらの学校で始まったチャレンジタイム(総合的な学習の時間)の中で「ニホンザリガニ王国」の研究と偶然出会いました。裏山の伐採とニホンザリガニへの影響も含め、この研究を一生懸命やろうと思いました.ぼくらの活動テーマは『どうしたらニホンザリガニを守ることができるか』です.
朝の読書やチャレンジタイムのとき、本や辞書はもちろんのことインターネットを使いどんどん調べていきました。まとめはパソコンを使ってまとめてみたいと思います。この勉強によって、テーマ『ニホンザリガニをどうしたら守ることができるか』に一歩でも近づけたらと思いました。
2.調べてわかったこと
(1)住みやすい環境、数、住む場所
東北地方の一部と北海道地方の一部の水のきれいな谷川で、流れのゆるやかな、低水温で、きわめて清りょうな水のあるところ、真水の混じったドロの中に住んでいます。 裏山の木の伐採により,ぼくたちのニホンザリガニが住む小川に泥やゴミが流れ込むかもしれません.
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ニホンザリガニの住む所 | 観察を続ける探検隊(1uに何匹?) |
(2)からだの大きさ
体の色は茶かっ色で、体長は5〜8センチぐらいです。
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卵を抱くニホンザリガニを発見した探検隊 |
(3)ざりがにのえさとオスとメス
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オスとメス(例:アメザリ) (www.interq/CRAY 提供許可済) |
ザリガニのえさは、するめ、煮干し、貝、みみず、パン、魚、 卵の白身、糸ミミズ、ミジンコなどですが、自然のニホンザリガニは、主に草けい植物や小さな虫を食べています。藻も食べます。 オスとメスを見分ける方法として足が長いほうがメス,短いほうがオスだといえます。それは,卵を抱く関係でそうなります.
(4)ザリガニの産卵
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探検隊が撮影した卵を抱くニホンザリガニ |
ザリガニは、1回に約50個の卵を産みます。春と秋の2回卵を産みます。
春 2週間後に小ザリガニへ
秋 次の年の春に小ザリガニになる
しかし、卵を産むときは敵にねらわれやすいので、夜中や朝早く産みます。
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(www.wnn.or.jp/提供許可済) みんなで見つける自然通信 5月14日号より |
卵を産むとき、敵が近づいたら、大きなはさみをふり上げて追いはらいます。 産んだ卵は、腹部に卵をくっつけて守っています。
(5)ニホンザリガニの敵
ニホンザリガニが生活してゆく上で、苦手な生き物は、トノサマガエルとギンヤンマノのヤゴなどです。
(6)アメリカザリガニとニホンザリガニ
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アメリカザリガニ(水産大学校生協力)とニホンザリガニ(www.interq/CRAY提供許可済)
その他に調べたこととして,ザリガニには、”アメリカからきた「アメリカザリガニ」と日本に
昔からいる「ニホンザリガニ」の二種類があります。
アメリカザリガニは、食用ガエルの養しょく用のえさとして 約70年前に日本に運ばれました。
養しょく場からにげ出したアメリカザリガニは持ち前の生命力で、日本中のたんぼや池と
、その住む地域や数を増やしています。
しかし、最近ニホンザリガニと同じように水の汚れなどで その数が少しずつ減っています。
(7)ニホンザリガニを飼う(買う)?
(www.wnn.or.jp/提供許可済)
飼うのはとても難しい。それは冷たくきれいな水を好むため水そう用クーラーなど大がか
りな装置が必要なためです。
”飼う”のも”買う”のもやめましょう。
3.調べてみて
今年は、ニホンザリガニについて、本やインターネットを使い調べました.実際に、近くに住むニホンザリガニを何回も観察(探検)しました.
観察では、今年の夏、何匹かのザリガニが死んでいました.その理由が水温なのか,水の汚れなのか,それとも他の原因なのかよくわかりませんでした.
調べる中で,いろいろな問題や疑問も出てきました.近くに住むザリガニの本当の数,住んでいる場所の広がり,オスとメスの数,年間を通した小川の環境の変化等です.また,本やインターネットを調べる中で,アメリカザリガニのことは多く書かれているが,ニホンザリガニのことを書いているページは少ないということに気づきました.
来年度は,もっと,ニホンザリガニについて,もっと本やインターネット等を使い,みんなと協力して、詳しく調べ,アメリカザリガニとの違いをはっきりさせたいと思います.
『どうしたらニホンザリガニを守ることができるか』このテーマに、今年は近づくことはできませんでしたが,”自然を大切にする心”を失わず,ニホンザリガニを守るために,これからも,少しづつ努力を積み重ね、ニホンザリガニを守るための方法を見つけ出していきたいと思います.
おわび この研究は、1年目の子ども達の研究成果でありますが、指導力不足もあり、アメリカザリガニとニホンザリガニを混在する結果となってしまいました。2年目の研究は、下記の先生方等のご指導を受け、ニホンザリガニに限定したつもりでございます。 この2年目の結果は「関根橋小学校インデックス」にあります「第1回青森県野生生物・環境研究発表」に掲載しております。 |
ニホンザリガニを一生懸命調べている皆様からのメール
1.繁殖サイクル
秋:体長4〜5センチメートルのオスとメスが交尾します.この時,オスはメスの腹部にある卵に精子の入った袋を付着させます.メスはこれを 持ったままで冬を越します。
春:メスは一個体で産卵します.メスはあお向けになり産卵し、秋から腹部にもっていた精子と一緒になり,受精します.
夏:卵がふ化します.ふ化直後の(年齢:1令という)は、母親の腹部にしがみつき,その形は親とちがいます.母親の腹部で一度脱皮し,2令 となり,親と同じ形(体型)になります。2令になったニホンザリガニ(稚エビ)は、しばらくすると親からはなれ、一人で生活をはじめます.
秋:母親は脱皮して、再び交尾を行います。
2.一生
1年目:一人で生活する稚エビは年内2回の脱皮を行い,4令トなって冬を越します.
2〜3年目:1年間2〜3回の脱皮を行います.脱皮直後はカラがやわらかくなります.
4〜5年目:主に広葉樹の落ち葉を食べて成長し,年1〜2回脱皮します.
5〜6年目:体長が5〜6センチメートルになり,オスとメスが大人のサイズに達します.それ以降,毎年1回脱皮して寿命は約10年です.
関根橋小学校へのご意見・ご指導をお待ちしています!
始めたばかりのニホンザリガニの学習です.ニホンザリガニに関する資料が少なく、子ども達も教師も手探りの状態です.子ども達と一緒に調べた結果に多くの間違いがあるようです.幸い近くに棲むニホンザリガニが、今でも元気に動き回っているのが何よりの励みです.これからもコツコツと学習していきます.ご意見・ご指導をお願い致します.
ご協力ありがとうございました!
旭川大学職員 青森県水産普及所員 五所川原農林高校職員 水産大学校職員・学生
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