寺宝紹介



「良寛和尚五律四行」(失題)

安田靫彦箱書



  自参曹渓道  千峰深閉門

  藤纒老樹暗  雲埋幽石寒

  烏藤朽夜雨  袈裟老暁煙

  無人問消息  年年又年年



【読み】
 自ずから参ず曹渓道 千峰深く門を閉ざす
 藤老樹に纒りて暗く 雲幽石を埋めて寒し
 烏藤朽ちて夜の雨  袈裟老いて暁の煙
 消息問う人無し   年々また年々

【意訳】
 曹渓(曹洞宗)に憧れてこの道に入ったが
 悟りの道はほど遠い
 迷いの藤は老樹にからまって暗く
 煩悩の雲は幽石を埋めて寒々としている
 朽ちて夜雨に打たれる藤の実は私そのもの
 古い袈裟を纏い町の朝餉の煙を見ている
 来る日も来る日も私を訪ね来る人はいない






【付記】
 良寛さまのお人柄に憧れて衣を着ているうち
に是非ともその書を入手したいと長年願ってお
りました。高価であるとともに贋作が多いもの
ですからなかなか実現しませんでしたが、ご縁
があってこのたびやっと良寛さまが雲祥寺に来
てくれました。
 この書は「地獄絵」の隣に展示いたしました。
優しさと悲しみを滲ませた独特の筆をどうぞご
鑑賞ください。
           (2003.6.18 彰晃記)