赤石ダム(堰堤)の老朽化が著しい!

赤石川の砂防ダム問題と再生を探る

「砂防ダムいらない?渓流保護ネットワーク」代表 田口康夫氏の見解と展望

 東北自然保護保護の集い鰺ヶ沢大会にパネラーとして参加した「砂防ダムいらない?渓流保護ネットワーク」代表の田口康夫さんは、赤石川の現状を視察し、特に「赤石ダム(堰堤)に亀裂がある」ことを指摘しました。
「渓流2001春」号から関連する部分を紹介します。
赤石堰堤のコンクリートの崩壊を点検する田口氏

 昨年(H12)10月14〜15日の両日、青森県鰺ヶ沢町で開催された「東北自然保護のつどい鰺ヶ沢大会」の分科会で、砂防ダム問題の話題提供をすることになった。その数日前、まずは鰺ヶ沢町を流れる赤石川を見ておく必要があると考え、上流部から河口付近まで、くまなく歩いてみた。はたして赤石川に砂防ダムが本当に必要なのか。その規模が適当かを見極めることが目的である。 田口康夫


 赤石堰堤の老朽化問題

 今回の現地視察でもっとも驚いたことは、赤石堰堤ダム本体のコンクリートの老朽化であった。1956年完成のこのダムは、わずか44年でダム正面に数センチの亀裂が入っていた。その亀裂はダム天端から放水ゲートの脇をとおり中段あたりで2つに分かれ、三角形を描くように下まで伸びていた。そして何らかの力により三角形の部分が少し飛び出しているように見えたのだ。幸いダム裏面まで亀裂が続いているようすは確認できなかったが、手すりを止めるアンカーボルトがまったく利かないほど、コンクリートはぼろぼろになっている状態だった。
 林野庁「治山施設被害原因調査報告書」によると、
1965年から4年間に全国で769基の砂防ダムが(林野行政では治山ダムと呼ぶが構造上は同じ)壊れている。古いダムほど被災しやすいという。
 私は赤石堰堤を見ながら、この数字と最近報道されているトンネル内のコンクリート落下事故とが妙に思い出された。コンクリートの寿命は70〜100年といわれ、その原因はコンクリート内部や外部からの潜在的化学反応や物理的外力であり、宿命的なものだといわれている。コンクリート建造物は貯水ダムや砂防ダムであろうと同じ現象をたどる。
 今後、日本の貯水ダムや砂防ダムはその寿命を迎えるが、大型のダムが壊れればそれだけで大災害につながってしまう。少なくとも今の赤石堰堤は、その危険性を充分にはらんでいる。早急に何らかの対策が必要ではないだろうか。平成14年に水利権が切れるこの時期にダムを撤去することもひとつの選択肢として考えてもよいと思われるが、早急に検討すべき課題といえる。

赤石ダム(堰堤)のコンクリートの劣化の現状
赤石堰堤の老朽化は著しく、将来的には決壊の恐れもあるのではないかと思われる。
劣化したコンクリートは非常にもろく、ダム本体にも亀裂が見られた。
下流部に被害が出てからでは遅い。
青森県と東北電力は、早急にこのダムの撤去する判断を下してほしいものだ。(田口康夫)

 田口さんは、この他にも *ダム堰堤が生態系を分断して、渓流魚の遺伝子に悪影響を与え絶滅の方向に導くこと。 *赤石川のダム堰堤はほとんどが土砂で埋まってしまい砂防の機能ははたしていないこと。 *新たな砂防ダムを建設するよりは、現状のダム堰堤をスリット式に改修する方がよりベターだということ。赤石川の現在魚道はまったくといって機能していないこと。などを紹介しています。

  田口さんから亀裂箇所についての詳しい報告をいただきました。
「(前略)さて、赤石堰堤の件ですが、おおよそは「2001渓流 春号」に書いてある通りです。亀裂の場所は排水、排砂ゲートのすぐ脇で、ダム本体天端に降りる梯子を降りたところの天端上から、ダム正面(下流側)の排水溝の脇を通って、中段辺りで二つに三角形を描くように下に延びています。三角形の部分は少し飛び出しているように見えます。(亀裂幅は1cm以上)
  排水ゲート、取水口、鉄柵、天端、水位スケール脇の取手付近などコンクリートの老朽化は確実に進んでいます。
  亀裂がダムの裏側まで入っているかは確認できませんでしたが、双眼鏡などを持っていってさらに詳しく調べる必要があります。(後略)」

   これを受けて、赤石川を守る会が調査に入りました。その新聞報道を紹介します。
    続いての青森の自然を守る連絡会議の調査時には、赤石ダムに漏水箇所が見つかりました。


 赤石堰堤は、発電のために十二湖の方面の発電所に水を引くためのダムです。多目的ダムではありません。通常ですと一つのダムが老朽化した場合は、その上・下流に新たなダムを建設する方策をとりますが、導入水路の位置からして同様に別な場所に建設するのは困難と考えられます。導入水路の建設にあたっては、落盤事故など大変な災害があったという話です。
 単に現在の白神山系の水により発電する分の電力量を代替するということなら、水力ではない発電方式に切り換えるということも考えられるでしょう。
 いずれ、かつ確実に赤石堰堤の寿命がくるならば、新しい発想のもとに「赤石川と白神山地」について考えるべきではないでしょうか。
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