自己責任

▼IR推進法なるものが成立した。統合型のリゾートを推進する法案だが、カジノも合法化となるようだ。

古今東西を問わず、賭博を好む人間は多い。時代劇の一場面に、使用されることも多いし、外国では選挙の結果やスポーツの大会まで賭け事の対象になっていることがあるという。カジノは禁止されている我が国であるが、現実には競輪・競馬・競艇などの公営の賭け事もある。パチンコもある。

▼どんな賭け事でも緊張感があり、ある意味では楽しいものである。そのために深淵に陥ることが多い。そのような人は自制心がないのだ。すべては自己責任だという声がある。でも欲望を誘うものを目の前において、自制を促すような事は正しいことなのだろうか。

自制心のない人から大枚を巻き上げ、行政の台所を潤そうという魂胆なのだろう。それによって困窮者が出たら、結局行政が支えなければならない。そのようなことに陥る人が少数でもでるなら問題は大きい。

▼最近は自己責任が求められることが多い。生活困窮、無年金、独居生活の問題など、様々なことがある。そのような状態に陥った責任は各々にある。でも、そのようにせざるを得なかった社会に、より以上の責任があるのではなかろうか。

▼農業者にも自己責任が求められている。競争力強化支援法案なるものが提出されているみたい。農業者に努力義務が明示されるみたい。果樹農政にどんな影響がでるか判然としないが、問題があったときに自己責任の欠如だといわれるのでないだろうか。

生産者としても災害や暴落などでも右往左往するだけでは何も解決しない。自己責任で解決する経営努力は必要だ。

▼世の中の流れは、国民から搾取はするが、問題が生じたときは自己責任を押し付けるだけの、安上がりの社会を造ろうとしているのではと心配になるこの頃の情勢である。