年寄りの戯言
▼りんご協会の元役職員が集まってりんご百年会という組織がある。特別に目的のある組織ではない。一線を退いた人たちの交流や研修の組織である。ただ、りんごに情熱をもって活動してきた人たちの集まりで様々な意見がでる。そこで、少しだけ時間をとって日頃考えていることを発言して、それを取りまとめしようではないかということになった。議論をして結論をだそうとするのではなく好きなように発言しようということである。取りまとめは事務局が行い、現りんご協会の役職員などにはその内容をお知らせしているが、私が書き留めた意見を広く紹介しようと思う。
※農政・社会問題
l アベノミクスと言われる今の政治は農業には冷たい。
l 国の考えは消費を促すということが主力で生産を粗末にしている。
l 攻めの農業というが、りんご研究所はガラガラ、普及員はいない。どのように攻める。
l 農家が減って共同作業も面倒になっている。
l 組織に若い人がいない。年寄りは年齢を理由に辞める。これでは協会も他の組織も成り立たない。
l 一番仕事をしているのは七〇代。これでは先が見えている。
※生産技術関連
l トキ、早生ふじの生産量が判らない。対策のためには生産量把握を急ぐ必要があるのでは。
l 早生ふじをどうするか。緊急の問題だ。
l スタンダードのふじを含めて、ふじの系統の整理の必要がある。
l 剪定の基本がなっていない。主幹、主枝もバラバラだ。
l 樹間を広げて日光の投下をよくする方法も考えるべき。
l 雇用労力が不足。対策もない。
l 日頃から単収を上げる対策をしている。それでも経営は成り立たない。
※経営問題
l 農家には生産技術はともかく、経営学が足りない。
l 単価だけで品種間を揺れる生産者をどのように指導する。
l 収穫箱が重い。対策がなければ辞めざるをえない。
l 稲作の先が見えない。その割に緊張感がない。
l 新しい作物を導入するとドリフトの問題がある。
l 放任されているりんご園を集積する方法がないだろうか。
▼この他にも沢山の意見があった。一線を退いたといってもりんご生産の現場でいまだに頑張り、りんご産業や農業の問題点を考えている人たちである。鋭い指摘があった。なにかの参考になれば幸いである。
▼ただ百年会に参加してくれる人たちはある程度固定している。参加資格者は沢山いる。どうか気軽に参加してほしい。そして、日頃考えていることを発言してほしい。一人でりんご樹を相手に文句を言っているだけでなく、懐かしい顔を見ながら日頃の考えを発言するはストレスの発散の場になる。