収入保険に想う


▼来年から収入保険が始まるという。農業は時折発生する自然災害や市況の混乱によって経済的に困窮することがある。そのようなときに農業者を支える制度が必要である。ようやく日の目を見ることができ喜ばしい。

▼ただ、加入には青色申告が必須要件になっている。収入を補足するために必要なのだろうが、これによって加入ができない生産者が出るのではないかと心配になる。青色申告でなければ正確なものでないという考え方なのだろうが、それには疑問がある。これでは白色申告は正確でないと言っているのと同じである。今も正確でないもので徴税をしているということなのだろうか。また、同時に果樹共済が総合方式だけになるという。結局災害に無防備な生産者を増やすことになるのではと心配になる。

▼疑問はあっても制度は動き出している。問題点は順次改正して多くの生産者が加入できるようにしてもらいたい。幸い制限付きではあるが単年度の青色申告でも認める方針らしい。生産者は今年度からでも青色申告を始めてほしい。また1・2年遅れることになっても、できるだけ早く始めてほしい。問題があった時に頭を抱えるのでなく、自分の経営は自分で守るという心構えこそ大切である。

▼この制度は保険だと思っていたが、伝え聞くところによると積立と保険の併合らしい。90%以下になると制度が発動するのだが、80%までの下落は積立制度によって補填し、それ以下になった時に保険制度によって補填するということらしい。つまり、通常の収入低下での補填は積立制度だということで、行政は負担を負わないということらしい。

▼積立金、保険金の他に賦課金もあるのだろう。賦課金も徴収するということは、発動しないと保険金は全て積上がるはずである。積上がった保険金はどのようにして管理するのか。また積立金はどのように管理するのか。管理する組織や方法も生産者に説明してほしい。かってみたいに、運用などと称して別な目的に使用するということが繰り返されないようにしなければならない。

▼制度の精神は素晴らしいし、農業者が安心して経営するために大切なものである。ただ、新しい制度によって生産者の不信の種が多くならないように切に願っている。