りんご協会の存在意義


▼天気予報を見て、一斉にS・Sが動き出す。産地全体が黒星病の危機感に覆われている。一つの事象に、これほど沢山の生産者が同じような行動をとったことがあっただろうか。それでも明るさの見えない状況である。

▼りんご協会が創立されてからも、大きな危機がりんご生産の現場を幾度となく襲った。モニリア病で壊滅的な被害を受けたこともあった。ハンラク病が蔓延したこともあった。フラン病対策に追われたこともあった。新薬の薬害が発生したこともあった。

▼病害虫だけの問題でない。台風・雹等の自然災害が大被害をもたらしたこともあった。大量のりんごを捨てたときもあった。生活ができないような低価格が連続したこともあった。次々と輸入解禁されたこともあった。その度にりんご協会は生産者を鼓舞し、行政や研究機関の協力を得て適切な対応してきた。それによって現在のりんご産業がある。

▼しかし今回の黒星病の問題はこれまでの危機以上に難関な問題である。この問題は決して生産者の怠惰や情報不足によって発生したものでない。耐性菌の出現という生産者の力では対応できない自然の変化によって起きた事象である。そして有効な対策が見つからないというのが現状である。

▼この病害に対する面倒さは、多くの生産者は認識している。だからこそテレビやスマホで天気予報を見て一斉に動きだす。今までのようにスケジュールにとらわることはない。コストの増加も気になるし、いままでやってきた防除の削減という目標と相反すると自覚している。それでもこの病害を封じ込めるが現在の最優先課題である。

▼この対策のために今まで以上にりんご協会の必要性が高まっている。生産者の実情や窮状を行政に届ける重要な役割を担っている。りんご協会は沢山の情報が集まる場所である。諸外国の事例を含めて、もっと情報を集める必要があるのではないか。

いずれにしても急がれる。

生産者頑張れ!りんご協会頑張れ!