気になること


▼TPP11、日欧EPAと続く。日米FTAの圧力も強いという。中国を中心とした新しい貿易協定も視野にあるらしい。なにがどうなるやら、報道を見ても、いろいろな解説を見ても今一つ判らない。確かなことは大きな変化が始まっている。りんごや果樹にどのような影響を及ぼすのかは、さらにピンとこない。ただ我が国の農業に大きな影響を及ぼすということだけは推察される。

▼世界が一つの国家であって、均等な経済活動が行われているなら、まさに理想である。しかし、現実には多くの国家があり、それぞれが別な価値観を持ち、別な方向を見据えている。その結果あちこちで紛争が起こっている。それらの国には、培ってきた経済価値がある。貧困は救済しなければならないが、価値観を無視し均等な経済活動をするべきだという最近の風潮は、本当に正しいことなのだろうか。

▼事は我が国の農業のことだけでない。農業国といわれている国は、これで本当に良いのだろうか。協定によって彼らの工業発展を阻害しないのか。それらの国には、我が国などの安い工業製品を提供するから、農業生産をして食料を輸出しろと言っているように聞こえる。そこには強いものが強くて当たり前だという考えがはびこっているように感ずる。このような強者優先の考えが世界の争いの現況なのではないだろうか。我が国にもこの考えが蔓延している。

▼今まで自由貿易こそが正しい方向だと唱えていたアメリカも、自国が輸入超過に陥りその対策に追われている。自由貿易が正しいのでなくアメリカファーストこそが正しいのだと言っている。その間隙をついて中国が自由貿易を唱えている。ますます訳のわからない状況だ。ついでにトウキョウファーストいう尻馬に乗っかっている人も出てきた。自分だけが良ければ他は顧みないという精神は前述のものと同一だ。

▼自由貿易を否定するのではない。そこには一定の秩序が必要なのではないだろうか。一つ一つの経済圏のあり方を尊重しながら、自由貿易をすることができたなら紛争もなくなる。

何の力もない年寄りの戯言である。