健康のススメ

▼本県は短命県だとの烙印を押され、それを払拭するために医療機関も行政も報道関係もキャンペーンをしている。平均寿命が発表されるたびに、りんご生産のもう一つの雄である長野県がトップで本県がビリだという構図が、ここ数年定着している。りんごを生産するものとして、これは悔しい。りんごは健康果実だと言っても、これでは説得力に欠ける。なんとかして本県も上位グループになりたい。そして、胸を張って言いたい。「りんごは健康果実だ」と・・・・

▼本県の平均寿命が短い原因が様々に言われている。健康診断の受診率が悪い。喫煙率が高い。塩分摂取量が多い。胸に手を当てて考えて見ると、全てが思い当たる。しかし、なかなか是正できないのも生活習慣である。なにか良策がないものだろうか。

▼生産者同士で話をすると「先のことにくよくよしてもつまらない。為るように為るさ」と開き直った言葉が時折出る。でも、有事に陥った時には、すでに遅い。為るように為らなかった友人もかなりある。

▼何よりも定期的な健康診断が大切なようである。最近はメタボ検診等とも呼ばれているが、定期的に地域を巡回する検診がある。これは好都合である。積極的に参加するべきである。勤めをしている人たちは、職場で半ば強制的に健康診断が実施される。しかし、自営である農業者は個人の意思である。そのために、ついおっくうになり翌年飛ばしにすることがある。個人の身体は個人が守るという意識を改めて持つべきである。

▼喫煙や塩分摂取量の問題は、もっと面倒である。長年の生活習慣は一朝一夕には改めることができない。これだけ悪者扱いされる喫煙にも精神の安楽という、変えがたいものがある。いい塩梅という言葉があるように日本食の塩分には独特のものがある。それでも、これだけ強調して悪者扱いされるということは、やはり問題が多いということなのだろう。人間は弱いもので、一人ではどうにもならない。家族で協力して何とか解決したい。

▼私自身、若いころからすべての事柄に身に覚えがあり、その不摂生が原因なのか、連続して大病を宣告された。幸い早期ということで、治療に成功して、今もりんご生産を続けている。だからこそ健康の大切さを強調したいのである。

本県の短命県返上キャンペーンが成功し、本県も長寿県の仲間入りをしたときには、一層胸を張ってりんごは健康果実だと強調できる。その時は国民の多くもりんごの持つ効能を今以上に理解してくれるだろう。そのためには生産者自身が早急に生活習慣を改めることが大切である。(自責を込めて…)