頑張ろうではないか!!

▼何かと騒々しく、軽々しく目出たいと言えないこの頃です。それでも新しい年明けを祝い、災禍に立ち向かいたいものです。

▼昨年は、我が国進路を決める重大な事態だと思っていた衆議院議員選挙が執行された。ところが「大山鳴動して鼠一匹」の状態だった。国民は現状の継続を望んでいるということが示された。国民の意思が示された上は、選ばれた人達は我が国のためにしっかりと頑張ってほしい。

選挙の結果よりも気になったのは意思表示をした国民の数だ。半分強の投票率によって、我が国の進路が決められたことになった。国民から支持されたと言っても、半分の支持より得られていない。仮に半分の得票で当選したとしたら、2%の支持より得られていない。選ばれた人達もこれで胸を張れるか。問題なのは国民の意識であるのだが、このような状態は大分前からあった。それを放置してきた責任はどこにあるのか。もしかしたらこれは為政者にとって好都合なので放置してきたのかと勘繰りたくなる。

農業者やりんご生産者という区分された数値は見当たらないが、周辺を見渡し、話を聞くとおそらく同様な状態であろう。農村や農業を何処へ誘導しようとしているのか定かでない状態に、不安や不満を感じ、愚痴を言っても行動を起こすことはしない。これではいつまでたっても変わることがない。せめて、りんご生産者は高い意識をもって、行動を起こすようになろうではないか。そのようになったら、りんご生産者の要望を無視できないであろう。

世界には国民の意思に関係なく、一部の権力者が強引に方向を決めて、住民を困窮させている国が沢山ある。それに変えようと行動して多くの犠牲者を出している。現在の我が国は、まだ国民が自由に意思表示できる。この素晴らしい環境をなくしてはならない。

▼りんご販売は順調である。青森県の令和2年産のりんご販売は7年連続1千億円を超えたという。これには胸を張っても良いだろう。

平成の初めころにも1千億円の大台を超えたことがあったが、これだけ連続したことはない。また、平成の初めころは産出額が販売額の半分くらいよりなかった。そのために販売額が多くても生産者が潤っているという実感がなかった。近年は産出額も上向き、いくらかは納得のいく状況が続いている。

1千億円と言っても県全体の経済から比較すると小さなものだという声もある。しかしりんごによって得られる経済は大部分が県外からの流入である。それによって関連産業や県内の経済が潤っていることを考えると本県経済に大きな貢献をしている。
ただ、令和2年産は生産者にとっては素直に喜べる状況ではなかった。生産者の収入は決して満足のできるものでない。生産量の多さによって大台を超えたという解説もあったが、生産者の収入を考えると不満がある。

幸い令和3年産の販売は順調だという。生産コストや生活費が上昇しているのだから、それに見合う価格で取引され、生産者が安心して生産に励めるようになって欲しい。

▼気になるのは農家や生産者の減少だ。平成の30年間でりんご農家・生産者とも半分以下になった。地域を見回すと、空き家が散見され、高齢者だけの世帯が多くなっている。りんご園はあちこちで荒れている。若い生産者は頑張っているが、この対策はりんご産業を守るために重大なことだ。

グローバル化していく中で、我が国独自の品質を確保することは大切である。しかし現状では不可能である。農家にどのような品質を求めるかを早急に再検討するべきだ。また作業体系をどのようにすべきか、そのためにはどのようなりんご園を造るかも大切である。集出荷体系をどのようにするかも重要である。すべてのことを農家の努力に求めるのでは解決できない。行政や研究指導組織・集出荷組織を含めた関係団体の強力なバックアップが必要である。各果樹産地は同様な悩みを抱えている。柑橘地帯でAIを使用した選果システムを構築して、生産者の労力軽減ができたという。一筋の光明である。

りんご地帯はまだ限界集落という状態にはなっていないと思うが、このままでは地域を維持できなくなってくるのではないかと心配になる。生産者も少なくなったからこそ地域で結集してほしい。一人の力ではできないことも、結集したらできるようになる。りんご協会の会員も必然的に減少している。組織を維持するために何を為すべきかを真剣に考える時期に到来している。この素晴らしい組織を維持するためには、過去を踏襲するだけでなく、りんご生産者を守るために何が必要かを第一に考える時代に突入した。

▼先がはっきりとしない辛い時代である。それでもこの地にはりんご生産が大切だ。この先にはきっと明るい未来が待ち受けている。新年にあたり、みんなで「頑張ろう」と三唱して新しい年に突き進もう。