これからどうする

▼様々な社会問題や、自然の猛威に晒されながらも今年のりんご生産は、ほぼ終了した。それにしても大きな曲がり角にきているような気がする。長い年月先人たちから受け継がれてきたりんご産業であるが、このまま継続しても良いのだろうか。いや、このまま継続できるのだろうか。一息ついたこの時期であるから考えてみる必要がある。

▼腹立たしいことであるが、グローバル化の波は我々にも押し寄せている。わが国の経済政策は良きにつけ悪しきにつけ農村にも押し寄せている。円安により潤っている大企業もあるだろうが、我々にとっては生産資材の高騰の要因になっている。またわが国の福祉政策が高齢者の多い農家経済を直接揺さぶっている。それだけでない。間接的な影響により雇用労働力の確保が面倒になっている。

▼国際化が叫ばれてからも、わが国のりんご生産技術は突出しているから、世界の中で棲み分けができるといわれていた。わが国特有の品質のりんご生産を続けていくなら、りんごは生き残れると信じてきた。この考えは決して間違いでないと思う。ただ、近年の急激な社会環境の変化の中でも、この考えが、これからも継続できるのだろうか。

▼農家は生き残るための対策を施してきた。平場移行も実施し、少しずつではあるが規模拡大もしてきた。単位収量と作業効率を上げるために若返り化も実施してきた。農水省などの目標には程遠いが、流れは同じ方向を向いていた。とくに若い生産者を中心に頑張ってきた。それにより昨今の安値基調や自然災害による減収の中でも、なんとか耐えてきた。

▼ただ昨今は、農家の努力を全て無駄にするような大きな変化がある。その対策のために経費的にも労力的にも現在以上の負担を背負いきれるのだろうか。

▼どのような品質のりんごを目指すのか。欧米のような品質を目指してもコストや経営面積で太刀打ちできないことははっきりしている。価格やコスト競争をすると、まさに世界のりんごに押しつぶされる可能性が高い。だからこそ日本型のりんご生産を追求してきた。しかし、この完璧さを求めた栽培はコストや労力確保で成り立たないような気がしている。まさに二律背反である。

▼それなら、どんな品質のりんごを目標とするか。急いで新しい日本型のりんごを構築するべきでないか。それによって農家が成り立つようでなければ、りんご産業は滅亡するだけである。

▼作業が一段落し、大きなため息をつきながら、来年以降を思うとき「さて・・・・これからどうする。どうなる」