86号
2003. 2. 20.更新
最近(2002年12月以降)号 79、80、81、82、83、84、85
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北限の「メダカ」と「ゲンジボタル」
日増しに春めき、野外での生き物探しが待ち遠しくなってきました。
生き物の分布地域を調べていますと「南限」とか「北限」という単語に触れることがあります。また、最近はあまり聞かれなくなりましたが北海道と本州の間の津軽海峡が生物分布の境界線になっているものがいろいろ知られています。イギリスの鳥類学者であったトマス.W.ブラキストン氏がこの現象に気づいたことから「ブラキストンライン」と呼ばれています。
ブラキストンラインを境にしている北限種として青森県下に分布する「ニホンザル」がとくに有名ですが今回取り上げた「メダカ」「ゲンジボタル」も青森県が北限になっている生き物です。
「メダカ」はDNA分析によれば青森県に棲息するメダカは北日本集団で岩手県南部まで分布する南日本集団とは遺伝子レベルで異なるのだそうです。ですから原産地の不明な「メダカ」は例え善意の放流であっても自然生態系に撹乱をおよぼすことになりますのでやめましょう。
同時に今回の主題の一つ「ゲンジボタル」も地域的な遺伝子が微妙に異なることが知られており、他県からの導入・放流は在来個体群に遺伝子の混乱を与える可能性が指摘されています。「メダカ」や「ホタル」が可愛いからといって他所の地域から導入して放流する話も聞きますが絶対に謹んで欲しいと思います。
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陽だまりに群れるメダカたち 繁殖期には番行動(左がオス、右はメス)
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メダカの卵(左の2枚は同じ卵ですが中の胚が回転して目玉が見えた) 親メダカは水温の高い頃毎日10〜20粒位産卵する
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孵化した稚魚は尾鰭と胸鰭を小刻みに動かしている ゲンジボタルの餌になるカワニナ
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ゲンジボタル(青森産オス) 発光したゲンジボタル
メダカ 環境庁は1999年2月、「メダカ」を絶滅危惧種U類(=絶滅の恐れが増大している種)に指定したのでした。
昔は北海道を除く*本州以南の日本各地の水田地帯にごく普通に分布して童謡にも歌われていた「メダカ」ですが「水田の基盤整備事業」の犠牲になり、急速に減少してしまいました。気が付いて見ますと環境の変わった水田地帯では「メダカ」をはじめ馴染のあった多くの生き物が姿を消していたのです。
現状でも本州以南の各地で一応分布は認められますがほとんど点状の分布に過ぎません。農水省が進めてきた「水田の基盤整備事業」の終わった水田地帯ではコンクリ-トのU字溝を勢い良く水が流れ、あるいは地下のパイプラインから必要に応じて蛇口を捻れば水が噴出します。稲刈り時期には大型のコンバインが走り回りあっという間に収穫作業が終わります。そしてその様な周辺には何処にも水面が見えないのです。
青森市内でも高速道建設のために数少なくなった「メダカ」の棲息地が潰されることになり、その代換え処置として「メダカ用ビオト-プ」が設置されました。
国土交通省や日本道路公団が造ったビオト-プ「共生の郷」「あずましの水辺」のメダカたちは無事に越冬できたのか雪融けが待たれます。
しかし、都市化、効率化を追求すれば自然環境はますます破壊され続くでしょう。政策的に歯止め策が必要な時期になったいるのではないでしょうか?
*北海道南部に移植放流された個体群がいるようです。ゲンジボタル 「メダカ」同様良く知られていた生き物ですが生息環境の変化に伴い減少傾向が続いているようです。
青森県横浜町の「よこはまホタル村」は北限のゲンジボタル棲息地として有名ですがその後の調査で下北半島先端部にも棲息が認められているようです。
青森市内でも生息数はあまり多くないのですが数カ所観察できる場所があります。
「ゲンジボタル」は「カワニナ」を食べるのでカワニナの生息場所には「ゲンジボタル」が棲息している可能性があります。しかし、ホタルの繁殖には発光によるオスとメスの交信が必要だと言われております。
したがって、夜通し街灯が灯っていたり、産卵場所、老熟幼虫の蛹化場所などの条件が揃っていなければ棲息は難しい様です。
最近各地でホタルの誘致活動が行われ、他県から移入個体の放流も行われているようですがその地域の個体群には微妙な光信号の差があり、無闇な放流事業は遺伝子の混乱が起こる危険性もあるようです。夜空に飛び交うホタルを観賞するにはその生息環境を如何に保全・復活出来るかではないでしょうか?
友人・知人のHP
青森の自然 : 青森県内の景色や花の画像が見られる人気NO.1のHP (棟方啓爾氏)
青森の水環境 : 始まったばかりのHP、青森県内各地の水環境が画像と共に紹介される予定(蝦名憲氏)
岩木山を考える会 :津軽のシンボル「岩木山」の自然が破壊されています
故郷埼玉のトンボ :松崎雄一さんのHP、トンボ愛好家には必見のペ−ジですトンボの素顔 :高橋克成さんのHP、トンボの接写画像が素晴らしい
トンボフオトギャラリ− : 氏原道昭さんのHPです。トンボの画像とコメントが素晴らしい
My Enphotomic Room : 中川雅充さんのHPです。トンボのほか身近の昆虫の接写画像が見られます。植物生態研究室(波田研)のホ-ムペ-ジ :岡山理科大学の波田さんの研究室です。たくさんの植物の鮮明な写真と解説が見られます。
日本野生メダカ保存会 : 鈴木広茂さんの絶滅危惧種に指定されたメダカに関するHPです。
昌子のお庭は虫づくし : 親子3人のほのぼのとした生き物観察記録、豊富な参考文献を参照した画像は参考になります。
日本産汽水・淡水(+海産)はぜ類図鑑:向井貴彦さんのハゼ類図鑑です。ハゼ類に関心のある方は必見のぺ−じです。
ヤゴの世界〜いとおしきトンボjrたち〜:一家伴安さんのトンボのヤゴを中心にしたHPです。
トンボのリストへ :最近青森市内で記録されたトンボの記録です(’99.7.〜’00.9.まで)
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Created December 20. 1999/Copyright(c) Masatoshi Igarashi