身近の生き物森林害虫シリ−ズ(5)
                                             2001.1.25.

バックナンバ−の目次へ

森林害虫シリ−ズを始めるに当たって

本格的な雪の訪れと共に外の生き物を探し歩くこともままなりませんので、来年の春まで古いスライドを中心に在職時代の仕事を振り返ってみたいと思います。

シリ−ズの手始めに「マツクイムシ」を数回に分けて取り上げています。

             マツクイムシ(その5) 天敵「オオコクヌスト
「マツクイムシ」の調査で被害材を割って「マツノマダラカミキリ」の調査をやっておりますと時々写真のような幼虫が出てきます。

 
 
左:飼育中のオオコクヌスト幼虫   中:脱皮直後の2齢幼虫       右:枯れ木の樹皮下から出た幼虫

この幼虫が見つかるとその付近の「マツノマダラカミキリ」の蛹室がほとんど空になっているのです。これは下の写真の「オオコクヌスト」という甲虫の仲間の幼虫です。また、このオオコクヌストの幼虫がマツノマダラカミキリの蛹室に入っていることもあります。
このオオコクヌストの幼虫を取りだして、マツノマダラカミキリの幼虫を与えますと自分の体よりも大きい「マツノマダラカミキリ」の幼虫にも食いついて食べてしまいます(下の右の写真には食べられた「マツノマダラカミキリ」の幼虫の東部が写っています、頭の大きさを比較して下さい)。
「オオコクヌスト」は「マツノマダラカミキリ」の捕食性の天敵昆虫なのです。
成虫の飼育実験には養殖「ハチミツガ」(下の写真中)などを用いることが出来ます。

   
左:オオコクヌスト成虫    中:成虫の飼育(餌は養殖ハチミツガ幼虫)  右:飼育中の幼虫と食われたマダラ幼虫

 
左:マツの樹皮の隙間に産卵された卵塊            右:材片の下側に産み付けられた卵

「オオコクヌスト」の成虫は枯れたマツの匂いに誘われて移動し、樹皮の隙間などに数十粒の卵を纏めて生み込む習性があるようです。
この隙間産卵の習性を利用して材片の下に産卵させることが出来ます。この手法は隙間産卵の習性を持ついろいろなカミキリムシ類にも応用できます。
孵化した幼虫は互いに寄り添って団子状態になっていますが、やがて激しい共食いが行われ、生き残った個体が樹皮の間に潜り込んでいきます。


左:孵化幼虫は一見仲良く団子状に集まる         右:樹皮下でキイロコキクイムシを捕食虫の幼虫

樹皮下に潜り込んだ幼虫は最初キイロコキクイムシの様な小型の幼虫を捕食しながら成長し、やがてマツノマダラカミキリの幼虫をも捕食できるようになる。オオコクヌストの幼虫は自ら枯れたマツの樹皮下を潜行しながら積極的に捕食活動をすることが出来る。成長した幼虫はマツノマダラカミキリの蛹室に次々潜入して捕食を繰り返す。

オオコクヌストの幼虫の飼育は比較的簡単で、人工飼料による飼育も可能になっている。

{問題点}
現在「マツクイムシ」の防除法として普遍的に行われている伐倒薫蒸処理は蛹室内の「マツノマダラカミキリ」の幼虫を効率的に殺虫可能であるが、同時に有力な天敵昆虫である「オオコクヌスト」幼虫をも一網打尽に殺虫していることになる。

残念ながら「オオコクヌスト」の天敵利用技術はまだ確立されていない。

      マツクイムシ (その2)その3)(その4)(その1 


友人のHP

青森の自然:青森県内の景色や花の画像が見られる人気NO.1のHP (棟方啓爾氏)

青森の水環境:始まったばかりのHP、青森県内各地の水環境が画像と共に紹介される予定(蝦名憲氏)

岩木山を考える会:津軽のシンボル「岩木山」の自然が破壊されています


トンボのリストへ青森市内で記録されたトンボの記録です(’99.7.〜’00.9.まで)

              

 バックナンバ−の目次へ

ご意見・ご感想はこちら

虫眼鏡シリ−ズへ

Created December 20. 1999/Copyright(c) Masatoshi Igarashi