身近の生き物森林害虫シリ−ズ(4)
                                             2001.1.4.

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森林害虫シリ−ズを始めるに当たって

本格的な雪の訪れと共に外の生き物を探し歩くこともままなりませんので、来年の春まで古いスライドを中心に在職時代の仕事を振り返ってみたいと思います。

シリ−ズの手始めに「マツクイムシ」を数回に分けて取り上げてみます。

             マツクイムシ(その4) 天敵「アカゲラ」の利用

この2枚の写真は枯れたマツの材内に潜んでいる「マツノマダラカミキリ」の幼虫がキツツキの類によって捕食された状態です。どちらも比較的小さな喫食痕だけで見事に捕食されています。

画面の下方に見えるのが幼虫が潜り込んだ材入孔ですが、蛹室はその上方に造られます。成虫が脱出すると時、最も薄い部分を丸く囓り取って脱出しますが、キツツキはその場所を嘴による打診で判断しているようです。

2枚目の画像では画面下方の左側に小さな穴が見えますが、これが打診痕です。
打診によって、最も効率的な場所が判断できるとその場所に小指の頭ほどの穴が開けられ、キツツキ特有の長いギザギザの付いた舌を挿入して幼虫を引きずり出して食べます。

このキツツキによる捕食は非常に正確で効率的に行われます。林業試験場東北支場(当時)の苗畑(実験林)で行われた捕食実験では冬季間中に「マツノマダラカミキリ」の幼虫が材入している供試丸太の内、物理的に捕食可能な幼虫が全て捕食されました。残されたのはキツツキが逆立ちしなければならない地際部分とか丸太をひっくり返さなければ捕食不可能な状態にある材入孔だけでした。



上の4枚の写真は「マツノマダラカミキリ」に産卵させた餌木丸太による野外の捕食実験です。付近の森林に棲息するキツツキが飛来して材内の幼虫を捕食する状況を調べました。
セットした丸太には産卵時期された時期が異なるため、1本毎に大きさの違う幼虫が育っています。キツツキがどんな喫食が出来るのか一部の丸太は地べたに横倒しにしておきました。

この実験中に鳥獣研究室長(現岩手県立大学教授)によって捕食者が「アカゲラ」であることが確認されました。「アカゲラ」の喫食は産卵時期が早く「マツノマダラカミキリ」の幼虫が十分に成長していると思われる丸太に対して集中的に行われました。

そのため、写真に見られるようにある丸太はほとんど樹皮が剥がされ、蛹室内の「マツノマダラカミキリ」の幼虫は大部分捕食されました。しかし、産卵された時期が遅く、孵化して間もない幼虫が樹皮下で越冬を強いられたような丸太は無視されてあまり喫食が行われなかったのです(4枚目の写真)。

その後の鳥獣研究室の研究によって、「アカゲラ」誘致に関するいろいろな研究が行われ、人為的に営巣木を設置する方法やねぐら用の巣箱(特許)などが開発されて実用化されております。

また、
糸状菌を利用した防除技術白きょう病菌、黄きょう病菌)も研究されています。次回はオオコクヌストについて紹介します。             

      マツクイムシ (その2)その3) (その1)(その5


友人のHP

青森の自然:青森県内の景色や花の画像が見られる人気NO.1のHP (棟方啓爾氏)

青森の水環境:始まったばかりのHP、青森県内各地の水環境が画像と共に紹介される予定(蝦名憲氏)

岩木山を考える会:津軽のシンボル「岩木山」の自然が破壊されています


トンボのリストへ青森市内で記録されたトンボの記録です(’99.7.〜’00.9.まで)

              

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