忘れもの

弓矢を射られて 翼を痛めた鳥は
羽ばたくことを忘れ 空の広さを忘れた
油の浮く海で 自由を失った魚は
泳ぐことを忘れ 海の広さを忘れた

誰のせいでもなく 僕は 病に臥して
ほんの少しの我慢を覚えた
歩くことを許されない僕は 病を受け入れ
日々待つことを覚えた

そして いつしか愛しき人のところへ
会いに行くことの喜びを忘れた